膵癌におけるIgG4陽性細胞について

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タイトル別名
  • Infiltration of IgG4-positive cells in pancreatic ductal adenocarcinoma
  • スイガン ニ オケル IgG4 ヨウセイ サイボウ ニ ツイテ

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説明

1型自己免疫性膵炎は膵臓の腫大,高IgG4血症,組織中のIgG4陽性形質細胞の浸潤を特徴とする疾患である.限局性膵腫大を呈するものは膵癌との鑑別が難しく手術を選択される症例がいまだに存在する.高IgG4血症は1型自己免疫性膵炎の特徴とされているが最近では膵癌症例においても高IgG4血症を認めるという報告もある.そこで膵癌との鑑別という観点から組織中のIgG4陽性細胞に注目し検討したところ,膵癌においてもIgG4陽性細胞が強拡1視野で10個を超える症例が癌部で5% (1/21),膵癌上流の閉塞性膵炎領域で10% (2/21) 認め,IgG4/IgG比率が40%を超える症例が癌部で9例 (43%),膵癌隣接部位で6例 (29%),膵癌上流の閉塞性膵炎領域で3例 (14%) 認めた.<br/>近年超音波内視鏡 (EUS) を用いて膵疾患を診断することが多くなったが,膵癌上流の閉塞性膵炎においてIgG4陽性細胞を認めることより,EUS下生検などで得られる微少検体を用いてIgG4の免疫組織学的方法により膵癌と1型自己免疫性膵炎を鑑別する際は注意が必要である.

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参考文献 (21)*注記

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