当科における卵巣癌IIIc期の治療成績の検討

書誌事項

タイトル別名
  • An analysis of the treatment of patients with stageIIIc ovarian cancer at Kansai Rosai Hospital
  • 当科[関西労災病院産婦人科]における卵巣癌3c期の治療成績の検討
  • トウ カ カンサイ ロウサイ ビョウイン サンフジンカ ニ オケル ランソウガン 3cキ ノ チリョウ セイセキ ノ ケントウ

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説明

当科の卵巣癌IIIc期の5年生存率は,2006年FIGO報告の32.5%に対し51.2%と良好である.当科での治療内容を詳細に検討することにより,今後の治療成績向上につなげることを目的として,2002年~2008年までに当科で初回治療を開始した卵巣癌IIIc期 32例を後方視的に検討したところ以下の結果を得た.(1)年齢の中央値は56歳(範囲:35~81歳).(2)組織型は漿液性腺癌14例,類内膜腺癌8例,粘液性腺癌2例,明細胞腺癌4例,未分化癌3例,その他1例.(3)5年生存率は51.2%,5年無病生存率は47.3%.(4)初回治療に奏効しなかった2例を除く30例中23例(76.7%)で,初回手術時(5例)またはinterval debulking surgery(IDS)時(18例)に肉眼的残存腫瘍なしのcomplete surgeryがなされ,これら23例は一度もcomplete surgeryがなされていない症例(7例)よりも再発が有意に少なかった(p=0.0042).また初回化学療法(化療)でclinical CRが得られIDS未施行症例(5例)は, IDSでcomplete surgeryがなされた症例(18例)よりも再発が有意に多かった (p=0.0361).(5)再発後6サイクル未満しか化療ができなかった症例(3例)は,6サイクル以上できた症例(10例)に比べて,死亡が有意に多かった(p=0.0024).これらの結果より,卵巣癌IIIc期の治療成績向上には,いずれかの時点でのcomplete surgeryがなされることと,再発時の積極的な化療が有効な可能性が示唆された.〔産婦の進歩63(4):477-482,2011(平成23年11月)〕

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