高齢初妊婦における熱帯熱マラリアの輸入感染症例

  • 三島 伸介
    関西医科大学公衆衛生学講座 関西医科大学附属滝井病院海外渡航者医療センター
  • 神田 靖士
    関西医科大学公衆衛生学講座
  • 田淵 幸一郎
    関西医科大学公衆衛生学講座 関西医科大学附属滝井病院海外渡航者医療センター
  • Lamaningao Pheophet
    関西医科大学公衆衛生学講座
  • 天野 博之
    関西医科大学公衆衛生学講座
  • 堀越 順彦
    関西医科大学附属滝井病院産婦人科
  • 西山 利正
    関西医科大学公衆衛生学講座 関西医科大学附属滝井病院海外渡航者医療センター

書誌事項

タイトル別名
  • An Imported Case of Falciparum Malaria Infection in Japanese Elderly Primigravida

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説明

マラリアは熱帯諸国を中心として流行が見られるが,現在の日本においてはその流行は見られない.輸入感染症として日本ではマラリアが年間数十例程度報告されているものの,日本での土着発生例は50年以上にわたって認めていない.また,妊婦のマラリア輸入感染例も少数ながら報告されている.しかしながら,高齢初妊婦の症例報告はまだなされていない.日本においてマラリア治療を行う際に問題となるのは,日本の薬事法で承認されているマラリア治療薬は3種類しかないということであり,更にはその3種類の全てが妊婦への投与禁忌となっていることである.こうした状況のため,日本において妊婦のマラリア症例に対して適切な治療薬を選択するのが極めて困難となる.本症例は妊娠第2期における40才の高齢初妊婦の輸入熱帯熱マラリア症例である.本患者は研究目的でマラウイとガボンに数年の滞在歴があり,滞在中に何度となく臨床的にマラリアと診断されて,治療を受けてきた.従って,本患者はマラリア原虫に対してある程度の免疫を有していると考えられた.治療薬として塩酸メフロキンが投与され,治療薬による重篤な副反応の出現もなく治癒するに至った.退院後,妊娠週数第39週において自然分娩にて健常男児を出産した.アプガースコアは9点であった.2010年4月の時点において,母子共に健康であることを確認した.<br>

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参考文献 (7)*注記

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