腹腔鏡下手術後に晩期再発した卵巣顆粒膜細胞腫の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of late recurrence of a granulosa cell tumor of the ovary after laparoscopic surgery
  • 症例報告 腹腔鏡下手術後に晩期再発した卵巣顆粒膜細胞腫の1例
  • ショウレイ ホウコク フククウキョウ シタテジュツゴ ニ バンキ サイハツ シタ ランソウ カリュウマク サイボウ シュ ノ 1レイ

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説明

卵巣顆粒膜細胞腫は晩期再発に注意が必要で,10年以上経過して再発する報告もあるが,いずれも開腹手術後の症例であり,腹腔鏡下手術後に10年以上の晩期再発をきたした症例の報告は本邦ではまだない.今回われわれは腹腔鏡下手術13年後に再発した卵巣顆粒膜細胞腫の症例を経験したので報告する.症例は65歳女性.52歳時に当院で右卵巣腫瘍を指摘され,腹腔鏡下右卵巣腫瘍摘出術を施行された既往がある.右卵巣腫瘍の病理組織診断は成人型顆粒膜細胞腫StageICであった.初回手術から13年後の再診時に内診で可動性のない鵞卵大の右付属器腫瘤を触知した.経腟超音波断層法では子宮内膜厚は8.6 mmで,右骨盤内には4.9×4.1 cmの多房性の嚢胞性部分と2.7×2.6 cmの充実性部分を有する腫瘍性病変を認めた.18FDG-PETでは,右卵巣腫瘍の充実性部分にのみ18FDGの異常集積を認めた.右卵巣顆粒膜細胞腫の残存卵巣の再発と診断し,開腹手術を施行した.右卵巣腫瘍は右膀胱側腔へ浸潤し,右外腸骨静脈に癒着し,右骨盤内に嵌頓していたが,術中破綻することなく腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,大網切除術を施行した.直腸前面とダグラス窩に播種と思われる腫瘍病巣を認めたが,その病巣も摘出し,肉眼的に残存腫瘍は認めなかった.術後病理組織診断は成人型顆粒膜細胞腫の再発であり,現在化学療法を施行中である.卵巣顆粒膜細胞腫に対する腹腔鏡下患側卵巣腫瘍摘出術では,本症例以外にも晩期再発ではないが術後3年5カ月で再発した報告があり,術後にはstaging laparotomyの追加治療を考慮すべきである.また挙児希望が強い場合には,再発のリスクを考慮したうえで,慎重に追加治療を検討する必要がある.〔産婦の進歩67(2):86-94,2015(平成27年5月)〕

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