SIADH,Cushing症候群を併発した子宮頸部小細胞癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of small cell carcinoma of the uterine cervix with syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion and Cushing’s syndrome
  • 症例報告 SIADH,Cushing症候群を併発した子宮頸部小細胞癌の1例
  • ショウレイ ホウコク SIADH,Cushing ショウコウグン オ ヘイハツ シタ シキュウ ケイブ ショウサイボウガン ノ 1レイ

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説明

小細胞癌は神経内分泌系への分化を特徴とする腫瘍で,主に肺に発生し子宮頸部に原発することはまれである.臨床的には早期よりリンパ節や他臓器への転移,再発をきたし,予後不良な経過をたどることが多い.今回,SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群),Cushing症候群を呈する腫瘍随伴症候群を合併し,治療に苦慮した子宮頸部小細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は39歳女性.不正性器出血,下腹部痛,嘔気を主訴に近医を受診,子宮頸部腫瘍および低Na血症を認めるとともに精神錯乱や見当識障害等を発症したため当院へ救急搬送となった.低Na血症(116mEq/L),低血漿浸透圧(257mOsm/L),高尿浸透圧(873mOsm/L),ADH高値(4.76pg/ml)を認めSIADHと診断した.水分制限とNaCl負荷にて血清Na値は正常化した.しかし,抑うつ,満月様顔貌,多毛,低K血症が出現し,血中ACTH 313pg/ml,血中コルチゾール 35.9μg/dl,尿中遊離コルチゾール 4960μg/日と上昇を認めた.精査の上,子宮頸部小細胞癌IIB期,およびそれによる異所性ACTH産生Cushing症候群と診断した.子宮頸部小細胞癌に対し,3回の動注化学療法(Cisplatin+ Epirubicin)で腫瘍の縮小をはかり,広汎子宮全摘術,両側付属器摘出術,骨盤リンパ節郭清術を施行した.術後補助化学療法はCarboplatin+ Etoposide療法を3コース施行したが,治療抵抗性にPDとなり発症から10カ月後に死亡の転帰をとった.子宮頸部腫瘍に電解質異常を伴う場合,小細胞癌をはじめとする子宮原発ホルモン産生腫瘍も念頭に置くことが必要である.〔産婦の進歩67(2):130-139,2015(平成27年5月)〕

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