臍帯付着部近傍に発生した胎盤血腫の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Placental hematoma occurring at the placental cord insertion site : a case report
  • 症例報告 臍帯付着部近傍に発生した胎盤血腫の1例
  • ショウレイ ホウコク サイタイ フチャクブ キンボウ ニ ハッセイ シタ タイバン ケッシュ ノ 1レイ

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説明

胎盤血腫は発生場所と原因血管によってさまざまな臨床症状を生じる.とくに臍帯付着部近傍(placental cord insertion site;PCIS)に発生する胎盤血腫は,大型になると胎児発育不全や胎児機能不全を引き起こすとの報告もあり,慎重な管理が求められる.今回,われわれはPCISに内部出血を繰り返す多層の嚢胞状血腫を認めたため,慎重に胎児のwell-beingを評価し,正期産にて生児を得た1例を経験したので報告する.症例は41歳,2回経産婦で,妊娠25週に前医で胎盤上の嚢胞状病変を指摘され,当科紹介受診となった.妊娠31週に嚢胞状病変の増大と胎児中大脳動脈収縮期最大血流速度(middle cerebral artery peak systolic velocity;MCA-PSV)の高値を認めたため管理入院とした.入院時は羊膜下血腫を疑って,胎児循環不全に留意し,頻回の超音波検査にて慎重に管理を行った.主に嚢胞のサイズおよび性状・羊水量・MCA-PSVの変化を経時的に観察した.妊娠32週から34週の間に断続的にMCA-PSVの中央値が1.8MoMとなり胎児貧血の進行を疑ったが,胎児のwell-beingに関する他の評価では異常所見がなく,保存的に管理した.MCA-PSVの低下がみられた妊娠36週以降,胎児機能評価のためcontraction stress test(CST)を周期的に施行し,妊娠38週で自然分娩に至った.出生した児に貧血は認めず,出生後の経過も良好であった.病理組織学的には,嚢胞は絨毛膜下血腫であった.PCISに胎盤血腫を認めた際には,その原因血管は胎児血由来である可能性を念頭に置き,慎重に周産期管理を行う必要があると考えられた.〔産婦の進歩67(2) : 120-125 , 2015(平成27年5月)〕

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