術後早期に肝転移をきたし肝破裂に至った子宮腺肉腫の1例

  • 青山 幸平
    京都府立医科大学北部医療センター産婦人科
  • 黒星 晴夫
    京都府立医科大学大学院女性生涯医科学
  • 松島 洋
    京都府立医科大学大学院女性生涯医科学
  • 辰巳 弘
    京都府立医科大学大学院女性生涯医科学
  • 森 泰輔
    京都府立医科大学大学院女性生涯医科学
  • 野口 敏史
    京都府立医科大学北部医療センター産婦人科
  • 北脇 城
    京都府立医科大学大学院女性生涯医科学

書誌事項

タイトル別名
  • A case of uterine adenosarcoma with liver metastasis causing early postoperative hepatorrhexis
  • 症例報告 術後早期に肝転移をきたし肝破裂に至った子宮腺肉腫の1例
  • ショウレイ ホウコク ジュツゴ ソウキ ニ カン テンイ オ キタシ カン ハレツ ニ イタッタ シキュウセン ニクシュ ノ 1レイ

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説明

<p>子宮腺肉腫は,子宮肉腫の約8%のみに認める組織学的に上皮成分が良性で間質成分が悪性を示すまれな上皮性・間質性混合腫瘍であり,なかでも腫瘍の25%以上を肉腫成分が占めるsarcomatous overgrowthの存在は予後不良因子となることが知られている.われわれは子宮筋腫として経過観察中,悪性腫瘍の可能性を否定できず手術を施行したところ,病理診断でsarcomatous overgrowthを伴った子宮腺肉腫と判明し,術後急速に肝転移をきたし破裂に至った1例を経験したので報告する.症例は56歳女性,6経妊2経産,子宮筋腫にて経過観察中,画像上悪性腫瘍の可能性を指摘され,当科紹介初診となった.超音波検査では子宮筋腫内に嚢胞成分と充実部分との混在を認め,MRI画像では子宮体部背側にT2強調像で内部信号がやや高信号な部分と著明な高信号を呈する部分とが混在する50 mm大の腫瘤性病変を認めた.肉腫の可能性も否定できず,病理診断による確定診断が必要と判断し,子宮全摘出術および両側付属器摘出術を施行した.術後病理検査では,細胞密度の高い異型間葉系細胞の増生を主体とし,腫瘍辺縁部では一部で腺腔を形成する異型の乏しい上皮成分も少量混在しており,肉腫成分が大部分を占めていた.子宮腺肉腫,pT1cNxM0,手術進行期IC期(2008年FIGO分類)と診断した.術後追加治療は施行せず経過観察とし,術後90日の時点では婦人科診察上,明らかな再発所見を認めていなかったが,術後96日で肝転移巣破裂により近院に救急搬送され,TAE施行後当院へ転院となった.その後急激に病状が増悪し,術後118日で死亡した.子宮原発の腺肉腫は低悪性度の腫瘍として知られており,早期の再発や腫瘍死は少ないとされている.しかし,sarcomatous overgrowthを伴うものは予後不良であり,術前診断も困難である.悪性が否定できない場合には,手術介入による摘出検体での診断が不可欠である.sarcomatous overgrowthを示す場合には,局所再発だけでなく遠隔転移を念頭に置き,術後初期から十分な全身検索を行い再発病巣の早期発見に努めることが重要である.〔産婦の進歩69(2):138-144,2017(平成29年5月)〕</p>

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