蚊類幼虫の塩分調節機構に関する研究 : 第 2 報海水による体液濃度の変動と調節

  • 松本 昭
    大阪府科学教育センター化学教室
  • 松谷 幸司
    大阪府科学教育センター生物学教室
  • 北田 仁一
    大阪府立大学生物学教室:(現)国立島根医科大学医学部生物学教室
  • 岡田 稔
    大阪府科学教育センター生物学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on the mechanisms of ionic regulation in mosquito larvae : II. The changes and regulation of the concentrations of Na and Cl in the haemolymph of larvae kept in various sea waters
  • 蚊類幼虫の塩分調節機構に関する研究-2-海水による体液濃度の変動と調節
  • カルイ ヨウチュウ ノ エンブン チョウセツ キコウ ニカンスルケンキュウ 2

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抄録

1. 23℃の淡水で累代飼育中のCpp, Cpm, AalbおよびAt-FWの4令幼虫を, 種々の濃度の人工海水に移し, 体液中のNa, Clの濃度の変化をしらべた。2.体液濃度の維持についてみれば, Atは異常にすぐれた調節能力を持っている。他はAalb, Cpm, Cppの順に, 塩分調節能力が弱くなり, Cppではほとんど調節がみられない(Figs. 1∿4)。3.淡水飼育のAt-FWを25℃, 30℃で140%海水中で, 22時間の変化を追跡してみると, 10時間ぐらいまで, 体液濃度が高くなった後, 22時間後にはかなり回復する。この間に強力な塩調節機能が形成されるものと考えられる。またこの際, 水温の影響をかなり強く受ける(Fig. 5)。4. NaとClの濃度変化の速度は, すべての場合にNaよりもClの方が大きい(Figs. 1∿5)。5.体液濃度の増大に伴ってNa, Cl濃度の接近した場合は, 幼虫の生存上, きわめて危険な状態となる。

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 27 (4), 405-410, 1976

    日本衛生動物学会

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