加重型妊娠高血圧腎症と重症胎児発育不全を合併したhyperreactio luteinalisの1例

書誌事項

タイトル別名
  • Hyperreactio luteinalis with severe preeclampsia and fetal growth restriction
  • 症例報告 加重型妊娠高血圧腎症と重症胎児発育不全を合併したhyperreactio luteinalisの1例
  • ショウレイ ホウコク カジュウガタ ニンシン コウケツアツジンショウ ト ジュウショウ タイジ ハツイク フゼン オ ガッペイ シタ hyperreactio luteinalis ノ 1レイ

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抄録

Hyperreactio luteinalis(HL)は両側卵巣に莢膜黄体化嚢胞が多発し,卵巣過剰刺激症候群様の卵巣腫大を呈するまれな疾患である.絨毛性疾患にみられるほか,多胎妊娠や正常単胎妊娠にもみられることがある.症例は45歳,3経妊0経産の女性で,本態性高血圧合併妊娠の診断で,当科を紹介受診した.妊娠19週時に両側卵巣の多房性腫大を認め,血中hCG値は583153 IU/Lと高値であり,MRI検査等からHLと診断した.また児の予想体重は171g (-2.0SD)であり,胎児発育不全と診断した.妊娠21週時に高血圧性心肥大による心不全および肺水腫を発症し,ICUでの管理を要した.妊娠22週時には高血圧症の悪化と尿蛋白を認め,重症妊娠高血圧腎症,胎児発育不全と診断した.妊娠25週時には超音波検査で臍帯動脈血流の途絶を認めた.妊娠27週1日,胎児機能不全および胎児発育停止の診断で緊急帝王切開術を施行し,426gの女児をApgar scoreは6/8点(1分/5分値)で娩出した.術中に卵巣の一部を生検し,病理結果は黄体嚢胞であった.術後経過は良好で,両側卵巣は徐々に縮小を認め,産褥2カ月で正常大となった.HLは高hCG状態に関連して妊娠高血圧腎症や胎児発育不全を伴うことがあり,それらの疾患の発症を念頭に置いて妊娠管理を行う必要がある.また悪性疾患と誤診されて卵巣摘出術が施行されるケースが少なくないため,臨床経過や画像所見による鑑別診断が重要である.〔産婦の進歩68(2):106-111,2016(平成28年5月)〕

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