当院で経験した巨大卵巣腫瘍28症例の検討

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タイトル別名
  • Giant ovarian tumor: an evaluation of 28 cases in our hospital
  • トウ イン デ ケイケン シタ キョダイ ランソウ シュヨウ 28 ショウレイ ノ ケントウ

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抄録

巨大卵巣腫瘍には術前より合併症を有し,良悪性の病理診断が困難な例があり,周術期管理に難渋する場合がある.今回われわれは画像診断で最大径20cm以上のものを巨大卵巣腫瘍として,2005年1月1日から2014年12月31日までの10年間に当院で管理した28症例について,年齢,body mass index(BMI),腫瘍径,画像所見,腫瘍マーカー,組織型,進行期を後方視的に検討した.年齢では,40~50歳代が17例と多く,また40~50歳代では,境界悪性,悪性の割合が高かった.術前の画像所見では,多房性が23例(82%)とほとんどを占めていた.術前,呼吸障害,深部静脈血栓症や蜂窩織炎など7例に合併症が認められ,うち2例は呼吸機能の改善のために術前の腫瘍内容液ドレナージが必要であった.組織型でみると,良性,境界悪性,悪性ではそれぞれ,粘液性嚢胞腺腫が8例(67%),粘液性境界悪性腫瘍が5例(83%),粘液性腺癌が4例(40%)と,3群のいずれも粘液性が最多であった.腫瘍径,腫瘍マーカーと良悪性の関係性は指摘できなかった.境界悪性,悪性の進行期についてみると,境界悪性6例のうち5例(83%),悪性10例のうち7例(70%)がI期であった.結論として巨大卵巣腫瘍は過半数が境界悪性や悪性であるが,それらのほとんどがI期であり,周術期合併症の管理を適切に行えば,比較的予後がよいものと考えられる.〔産婦の進歩68(2):61-68,2016(平成28年5月)〕

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