書誌事項
- タイトル別名
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- A case with a recurrent right ovarian mature cystic teratoma which showed malignant transformation to squamous cell carcinoma (SCC) after laparoscopic enucleation of a right ovarian tumor
- 症例報告 卵巣成熟囊胞性奇形腫核出術後に悪性転化による再発が疑われた1例
- ショウレイ ホウコク ランソウ セイジュクノウホウセイ キケイ シュカクシュツジュツゴ ニ アクセイ テンカ ニ ヨル サイハツ ガ ウタガワレタ 1レイ
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説明
右卵巣成熟嚢胞性奇形種に対して腹腔鏡下右卵巣腫瘍核出術を施行後,扁平上皮癌への悪性転化による再発が疑われた1例を経験したので報告する.症例は34歳,0経産.右卵巣に11cm大の腫瘤を認め,当院受診.血液検査所見は,CA19-9が904U/ml,CA125は29U/ml,SCCは2.8ng/ml.MRIでは明らかな悪性所見はなく,腹腔鏡下右卵巣腫瘍核出術(病理診断は成熟嚢胞性奇形腫)を施行した.術後9カ月目に右卵巣腫瘍と腹水を認め当科受診.経腟超音波で8cm大の充実性腫瘍を認め,SCC30.5ng/ml,MRIで8cm大の充実性右卵巣腫瘍とともに骨盤リンパ節腫大を認めた.FDG-PET/CTでも同腫瘍にSUVmax15.9の集積,傍大動脈リンパ節にも転移を疑う集積を認めた.造影CTでは左鎖骨上窩リンパ節腫大も認め,卵巣癌IV期と診断し手術施行.腫瘍は右付属器であり,子宮広間後葉に浸潤していた.右付属器切除,骨盤リンパ節生検,大網切除,carboplatin腹腔内投与で手術を終了した.最終診断で卵巣は扁平上皮癌であり,生検したリンパ節は炎症性変化のみでpT2bN0M0であった.鎖骨上窩リンパ節も炎症性変化であった可能性があり,生検後に根治手術を行う方針も提示したが患者は希望せず,TC(paclitaxel,carboplatin)療法を9回施行し,2回目の手術後20カ月経過しているが再発を認めていない.本症例のように,成熟嚢胞性奇形腫の核出後に異時性に扁平上皮癌として悪性転化する例は現在まで報告がなく,しかも多発リンパ節転移が疑われたため治療に難渋したが,現在まで良好な経過を得られている.悪性転化のリスクファクターを有する若年患者で卵巣温存手術をする場合は,たとえ病理診断で良性であっても,きわめてまれではあるが悪性転化での再発の可能性も念頭におき診療にあたる必要があると考えられた.〔産婦の進歩66(1):43-49,2014(平成26年2月)〕
収録刊行物
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- 産婦人科の進歩
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産婦人科の進歩 66 (1), 43-49, 2014
近畿産科婦人科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679924050176
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- NII論文ID
- 130003391465
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- NII書誌ID
- AN00099490
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- ISSN
- 13476742
- 03708446
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- NDL書誌ID
- 025195260
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可