閉経後に発症したSertoli細胞腫の1例

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タイトル別名
  • A case of Sertoli cell tumor in a postmenopausal woman
  • 症例報告 閉経後に発症したSertoli細胞腫の1例
  • ショウレイ ホウコク ヘイケイ ゴ ニ ハッショウ シタ Sertoli サイボウ シュ ノ 1レイ

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抄録

Sertoli-Leydig細胞腫は性索間質性腫瘍に属する.非常にまれな腫瘍で全卵巣腫瘍の0.2~0.6%を占める.好発年齢は比較的若年の25歳前後で,30歳以下が75%を占めるのに対して,閉経後は10%に過ぎない.今回われわれは閉経後,男性化徴候を示したSertoli細胞腫の症例を経験したので報告する.症例は67歳,未経妊,子宮内膜症,痛風,高血圧症,C型肝炎の既往がある.腹部膨満感を主訴として前医を受診した.子宮頸部細胞診はNILMで異常なかったが,年齢に比して,表層~中層細胞優位な細胞像であった.骨盤MRI画像上,充実部を主体とした嚢胞成分を含む長径約25cm大の巨大骨盤内腫瘍を認めた.子宮は正常であったが内膜肥厚を認め,血中エストラジオール163.6 pg/ml,テストステロン5.6 ng/mlと高値であった.以上からホルモン産生卵巣腫瘍を疑い,腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,大網部分切除術を施行した.病理組織標本では,腫瘍は嚢胞を有する右卵巣由来の充実性腫瘍であり,Sertoli細胞が胞巣状,索状に配列していた.核分裂像は1-2/10HPFと少なかった.腫瘍細胞はα-vimentin,PgRが陽性で,EMA(epithelial membrane antigens),CEA,AE1/AE3,CK7,CK20,CD30,AFP,ERが陰性,MIB-1は約1%が陽性であった.明らかなLeydig細胞は認められなかった.以上から右卵巣腫瘍,Sertoli細胞腫(中分化型:境界悪性腫瘍),pT1a NX M0 FIGO stage 1A期と診断した.血中のエストラジオール,テストステロンは術後速やかに陰性化した.術後補助療法なしで1年10カ月経過観察中であるが現在再発徴候なく経過中である.〔産婦の進歩68(1):36-41,2016(平成28年2月)〕

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