妊娠初期に重篤な神経症状を呈する脳静脈洞血栓症を発症したが抗凝固療法により良好な経過をたどった1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of cerebral venous sinus thrombosis that occurred in the early period of pregnancy; the patient recovered totally without any complications after anticoagulation therapy
  • 症例報告 妊娠初期に重篤な神経症状を呈する脳静脈洞血栓症を発症したが抗凝固療法により良好な経過をたどった1例
  • ショウレイ ホウコク ニンシン ショキ ニ ジュウトク ナ シンケイ ショウジョウ オ テイスル ノウ ジョウミャクドウ ケッセンショウ オ ハッショウ シタ ガ コウギョウコ リョウホウ ニ ヨリ リョウコウ ナ ケイカ オ タドッタ 1レイ

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説明

<p>脳静脈洞血栓症は産褥期に多く,そのほとんどが分娩直後から産褥4週までに発症するといわれている.妊娠初期に発症する例は少ないとされるが,今回は妊娠初期に脳静脈血栓症を発症し,重篤な神経症状を呈するも,抗凝固療法により母児ともに良好な経過をたどった1例を経験したので報告する.症例は38歳の初産婦,顕微授精で妊娠成立した.採卵前周期に低用量ピルを,胚移植後に卵胞ホルモンと黄体ホルモンを投与されていた.妊娠初期より妊娠悪阻を認めていたが,妊娠悪阻の増悪と意識障害の出現を認めたため,妊娠7週に当院に救急搬送された.来院時は不穏状態で,意識レベルJCSI-3と意識障害を認め,さらに全身性痙攣や麻痺も出現した.頭部CTおよび頭部MRI/MRVにて脳静脈洞血栓症と診断し,直ちに抗凝固療法を開始した.脳浮腫治療やリハビリ療法を併用し,妊娠14週には神経学的な後遺症なく回復した.妊娠15週には外来管理が可能となり,妊娠40週に2830gの児を娩出した.産後は母児ともに異常なく経過した.産後,抗凝固療法はワルファリン内服に変更し,産褥6カ月まで継続した.〔産婦の進歩68(3):261-268,2016(平成28年8月)〕</p>

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