レボノルゲストレル徐放型子宮内避妊システムが有効であったperitoneal inclusion cystsの1症例

書誌事項

タイトル別名
  • Case report of peritoneal inclusion cysts successfully treated using the LNG-IUS
  • 症例報告 レボノルゲストレル徐放型子宮内避妊システムが有効であった
  • ショウレイ ホウコク レボノルゲストレルジョホウガタ シキュウ ナイ ヒニン システム ガ ユウコウ デ アッタ

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説明

<p>Peritoneal inclusion cysts(以下PIC)は,腹部手術,外傷,子宮内膜症や骨盤内炎症疾患などに関連して発生し,その治療方法として手術,硬化療法,低用量経口避妊薬/低用量エストロゲン・プロゲスチン(oral contraceptives/low dose estrogen-progestin;以下OC/LEP)および GnRHアゴニストの使用が報告されている.今回レボノルゲストレル徐放型子宮内避妊システム(levonorgestrel releasing intrauterine system;以下LNG-IUS)の使用によりPICが軽快した症例を経験した.症例は初診時40歳,未経妊.生後9カ月時にイレウス解除術の既往があり,31歳時に腹部打撲にて某医を受診した際に,多量の腹水貯留,嚢胞形成および子宮筋腫を指摘された.原因精査のために試験開腹術を受けたが,両側付属器に異常を認めず,腸管の癒着によって形成された偽腔に腹水が貯留しており,PICと診断され癒着剥離術を受けた.しかしながら術後もPICは残存し,さらに頻回の腹水穿刺による除水を要したことから,40歳時に腹腔静脈シャント術を希望され当院内科に転院した.しかし,腹水が粘稠であり閉塞のリスクがあるためシャント術は適応外とされ,その後4カ月ごとに腹水穿刺を受けていた.同時期に,子宮筋腫の検診目的に当科へ紹介初診され,その後外来にて経過観察していた.42歳時,月経中に実施された腹水穿刺にて血性腹水を認め,月経血の逆流によってPICの腹水が増加する可能性が示唆された.そこで過多月経の悪化も認めていたことから月経量減少の目的にLNG-IUSを子宮腔内に挿入したところ,PICは改善し,処置後1年以上経ても腹水の再貯留は認めていない.本症例より,月経血の逆流が関与すると考えられるPICに対する保存的治療の1つとしてLNG-IUSが有効である可能性が示された.〔産婦の進歩69(1):21-25,2017(平成29年2月)〕</p>

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