子宮体癌に対する傍大動脈リンパ節郭清を含む腹腔鏡下手術の後方視的検討

  • 安彦 郁
    京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学
  • 馬場 長
    京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学
  • 堀江 昭史
    京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学
  • 山口 建
    京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学
  • 伊藤 美幸
    京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学
  • 小西 郁生
    京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学
  • 松村 謙臣
    京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学

書誌事項

タイトル別名
  • Laparoscopic para-aortic lymphadenectomy for uterine endometrial cancer: a retrospective analysis
  • シキュウタイ ガン ニ タイスル ボウ ダイドウミャク リンパセツカクセイ オ フクム フククウキョウ シタテジュツ ノ コウホウ シテキ ケントウ

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説明

<p>本邦では,傍大動脈リンパ節郭清(para-aortic lymphadenectomy;PAN)を含む子宮体癌の腹腔鏡手術の成績はまだ十分に蓄積されていない.本手術の安全性と治療成績を明らかにすることを目的として本研究を行った.2012年1月から2016年1月までの期間に当科で再発中・高リスク群と予想される子宮体癌に対し,腹腔鏡下にPANを含む根治術を行った17例について,同期間に開腹で根治術を行った45例を対照として,後方視的に検討した.手術時間には差を認めなかったが,出血量(p<0.0001),在院日数(p<0.001)が腹腔鏡群で有意に低値であった.術後合併症はリンパ嚢胞が有意に腹腔鏡手術で少なかった(31.1%対0%,p<0.05).イレウス(11.1%対5.9%)とリンパ浮腫(22.2%対5.9%)は,有意差はないものの腹腔鏡群で少ない傾向であった.1例で血管損傷による出血のため腹腔鏡から開腹術に移行した.切除リンパ節数はPAN領域では有意差はなく(中央値31個対23個),骨盤内領域では腹腔鏡手術の方が少なかった(中央値43個対32個,p=0.008).画像上リンパ節腫大のある症例は本研究から除外しているが,病理学的リンパ節転移は開腹群9例(20%)と腹腔鏡群2例(12%)に認めた.再発は開腹群に3例(6.7%),腹腔鏡群に1例(5.9%)認めた.手術時間は対照群ではBody Mass Index(BMI)と強く相関していた(p=0.0001)が,腹腔鏡群では相関がなく,症例間のばらつきも少なかった.出血量も対照群ではBMIとの相関がみられたが(p=0.01),腹腔鏡群では相関がなかった.結論として,子宮体癌に対するPANを含めた腹腔鏡手術は,PAN領域の切除リンパ節数を減らさず,合併症や出血量や在院日数を減らす.また肥満例でも手術時間が長くなりにくく,出血量が多くなりにくいことが示唆された.〔産婦の進歩69(1):1-7,2017(平成29年2月)〕</p>

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