富山県におけるコガタアカイエカの消長と農薬空中散布の影響および日本脳炎流行との関連

書誌事項

タイトル別名
  • Seasonal occurrence of Culex tritaeniorhynchus summorosus in Toyama Prefecture, with special references to the effect of aerial application of carbaryl dust on rice-fields and Japanese encephalitis
  • トヤマケン ニ オケル コガタアカイエカ ノ ショウチョウ ト ノウヤク クウチュウ サンプ ノ エイキョウ オヨビ ニホンノウエン リュウコウ ト ノ カンレン

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説明

1965年来, 日本脳炎媒介蚊コガタアカイエカの季節消長および豚血中抗体の陽性率について調査し, 1968年, 日脳ウイルスの蚊からの分離を行なつて, 次の結果を得た.富山県ではコガタアカイエカ成虫は6月中旬より9月中旬まで出現し, 通常7月下旬より8月下旬にかけて多発するが, 主として農薬空中散布などの影響を受けて, 各地で異なつた消長をとつたと思われる.近年, 富山県で蚊数が著しく少ないのは, 早期栽培と早生作付率の増大で, それに伴つた水管理によつて, 水田が蚊の発生に不適となつたことに加え, 蚊の増加期に農薬広域散布が行なわれるためではないかと推察される.農薬(carbarylなど)の8月上旬の空中散布により, 蚊数が著しく減少し, 早場米地帯のために成虫化するに要するだけ水田に水がなく, その後の発生が抑制され, 長期間蚊数が少なかつたところから, 日脳感染蚊の絶対数が低く止まつたものとみなされる.そのために, 感染蚊率は高くても, 豚血中抗体の陽転が大幅に遅れ, 日脳真性患者も出現しなかつた可能性が考えられる.

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 20 (2), 87-94, 1969

    日本衛生動物学会

被引用文献 (1)*注記

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