ホルモン補充療法中の低骨密度閉経後女性に対するアレンドロネート追加併用の有用性に関する検討

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  • Usefulness of addition of alendronate to ongoing hormone replacement therapy in postmenopausal women with low bone mineral desity

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抄録

閉経後骨粗鬆症は,骨代謝動態が高回転型を呈することが多く,エストロゲン製剤やビスフォスフォネート製剤あるいはこれら両剤併用の有効性が報告されている.しかし,エストロゲン治療を受けているにもかかわらず骨密度(BMD)が増加しない場合や,BMD上昇がプラトーになった場合に対するビスフォスフォネート製剤追加併用に関する成績はきわめて少ない.そこで,すでにホルモン補充療法(HRT)を受けている低BMD閉経後女性に対してビスフォスフォネート製剤の1つであるアレンドロネート(ALN)の追加併用を行い,そのBMDならびに骨代謝動態への影響を調べた.<br>  対象はBMDが骨粗鬆症あるいは骨量低下の診断基準を満たすHRT施行中の閉経後女性26名である.26名のうち16名はHRTのみを継続し,残り10名はHRTにALN5mg/日の追加併用投与を行った.<br>  BMDはDXA法により測定し,骨代謝マーカーは血中骨型アルカリホスファターゼ(ALPIII)と尿中デオキシピリジノリン(DP)を調べた.さらに,HRTにALN5mg/日の追加併用投与を行った10名に関しては,8ヵ月間の追加併用後に骨量が大きく上昇した高増加群(中央値3.5%以上の増加:4名)と低増加群(中央値3.5%未満の増加:6名)の2群に分けて,骨代謝マーカーの推移を比較検討した.<br>  HRTにALN追加併用群では,HRT継続群に比して腰椎のBMDの有意な上昇が観察された(p<0.05).ALN追加併用群で大きくBMDが上昇した高BMD増加群では,そうでない低BMD増加群に比してALN追加併用前のDP値は有意に高値を示した(p<0.05).また,ALN追加併用投与後の,DP値の変化率は高BMD増加群と低BMD増加群の間で有意な差が観察された(p<0.05).<br>  以上より,HRT施行中の低BMD閉経後女性で,BMD上昇が期待できない症例に対して,ALNを追加併用することは臨床的有効性が高いと推察される.また,HRT にALNを追加併用する場合,その時点で骨代謝が高回転型であればALN追加に伴いBMDの大きな上昇が期待できることから,骨吸収マーカーはALN追加併用後のBMD上昇の程度を予測するうえで有効な指標になる可能性が示唆された.〔産婦の進歩56(2):70 -76,2004(平成16年5月)〕<br>

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