長野県山岳湖沼の水質現況とその保全

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書誌事項

タイトル別名
  • The present state of water quality and the conservation of some alpine lakes in Nagano prefecture
  • Nino-ike, Sanno-ike, Noga-ike, Shirouma-Oike and Kazabuki-Oike
  • 二ノ池, 三ノ池, 濃ケ池, 白馬大池, 風吹大池

抄録

1.1974年から1979年にかけて, 主として夏季に, 長野県下の山岳湖沼である御岳山の二ノ池, 三ノ池, 木曽駒ケ岳の濃ケ池, および北アルプスの白馬大池と風吹大池について, 水質, 底質, 生物などの現状を調査し, 保全の方策について考察した。<BR>2.御岳山の二ノ池および三ノ池は, 御岳教信仰の対象として, 昔から登山者が多いにもかかわらずよく保護されており, 高山湖にふさわしい貧栄養の状態が保たれていた。しかし, 三ノ池には富栄養化の徴候が認められた。これらの湖は, 1979年10月28日の御岳山の突然の噴火により降灰の影響を受けているので, その後の調査が望まれる。<BR>3.木曽駒ケ岳の濃ケ池は, 湖水中のN, Pの濃度, COD, 細菌数および底泥のC, N含量がかなり高く, また大腸菌群細菌もみられ, 集水域からの有機物細屑の流入とともに, 人為的な汚染も認められる。またこの湖の湖盆は, カールの上部からの土砂の流入によってかなり急速に埋没しつつあることがわかった。<BR>4.白馬大池および風吹大池は貧栄養の状態を保っているものと認められ, 細菌数も少なく, 人為的な汚染はみられなかった。しかし, 風吹大池は湖水のクロロフィル量に対するCODの比が大きく, 周囲の森林からの腐植質の流入が推定された。この影響は底泥の性質にもはっきりみられた。<BR>5.以上の調査結果から, 山岳湖沼の特性に基づいた, 湖の水質および湖沼を取り巻く自然環境の保全対策について考察した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679938177536
  • NII論文ID
    130003700125
  • DOI
    10.2521/jswtb.16.47
  • ISSN
    18810438
    09106758
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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