溶存態窒素およびリン濃度の違いに対するセキショウモ(<i>Vallisneria asiatica</i>)の抗酸化機能応答

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  • Metabolic and Antioxidant Responses of <i>Vallisneria asiatica</i> to Different Concentrations of Dissolved Inorganic Nitrogen and Phosphorus
  • Metabolic and Antioxidant Responses of Vallisneria asiatica to Different Concentrations of Dissolved Inorganic Nitrogen and Phosphorus

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抄録

富栄養化した中国の太湖においては、水生植物が消滅しており、その消滅の機構を解明するために、太湖の富栄養化の現況を背景に、20日間の水槽実験を実施し、適切な中濃度の栄養塩(NO3-N 1.50mg・l-1、PO43--P 0.10mg・l-1)および高濃度のNH4-N 3.50mg・l-1、高濃度のPO43--P 0.60mg・l-1が沈水植物のセキショウモの抗酸化防御機構に及ぼす影響を検討した。中濃度の栄養塩の場合、セキショウモの代謝は促進された。一方、高濃度のNH4-NあるいはPO43--Pの場合、セキショウモの葉の中のクロロフィルa(Chl.a)とタンパク質含量は低下し、カタラーゼ(CAT)活性は増加したことから、酸化ストレスが生じていたと示唆された。さらに、3.50mg・l-1 NH4-Nと比較して、0.60mg・l-1 PO43--PはCAT活性の増加が敏感であり、酸化ストレスによる障害が生じやすいと考えられる。これらのことから、セキショウモが高濃度のNH4-NあるいはPO43--Pに遭遇した場合、抗酸化防御機構が活性化されるが、代謝系の損傷も避けられなく、太湖におけるセキショウモの生物帯の回復のためには、窒素およびリンの両者の制御法の確立が必要であることが示された。

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