環境水中のクリプトスポリジウム検出を目的としたRT-LAMP改善法の実用性評価

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タイトル別名
  • Validation for an Improved Reverse Transcription-loop-mediated Isothermal Amplification Assay for Detection of Cryptosporidium in Water Samples
  • カンキョウ スイチュウ ノ クリプトスポリジウム ケンシュツ オ モクテキ ト シタ RT LAMP カイゼンホウ ノ ジツヨウセイ ヒョウカ

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抄録

クリプトスポリジウム検出法として開発したRT-LAMP法が、検鏡法よりも高感度であることを以前に報告した。その後、養豚場排水及びその下流の河川水において、検鏡法でクリプトスポリジウムが検出されるにもかかわらず、RT-LAMP法で陰性となる事例が明らかになってきた。この原因として、養豚場排水に含まれる糞便等の遺伝子増幅阻害物質の影響が考えられた。そこで、遺伝子増幅阻害物質の影響を除去するために、RT-LAMP法に用いるRNA抽出液量を従来の5μlから1μlに低減する改善策を試行した。養豚場排水及びその下流の河川水、その他の環境水、浄水について、検鏡法、RT-LAMP従来法(RNA抽出液量5μl)及びRT-LAMP改善法(RNA抽出液量1μl)によりクリプトスポリジウム検出を行い、各検査法の結果を比較することでRT-LAMP改善法の実用性を評価した。オーシスト数2以上の養豚場排水及びその下流の河川水23試料中、RT-LAMP従来法での陽性試料は7(陽性率30.4%)であったが、RT-LAMP改良法での陽性試料は19(陽性率82.6%)となり、陽性率が著しく向上した。表流水44試料中、検鏡法での陽性試料は4(陽性率9.1%)、RT-LAMP従来法での陽性試料は9(陽性率20.5%)、RT-LAMP改善法での陽性試料は11(陽性率25.0%)となり、RT-LAMP改善法が検鏡法やRT-LAMP従来法よりも高感度であることが示された。本法は検査に使用するRNA抽出液量を減らすだけでRT-LAMP従来法で認められた阻害を回避できることから、非常に簡便な改善策である。

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