作業環境の改善が職業性喘息に及ぼす影響について

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タイトル別名
  • EFFECTS OF IMPROVEMENTS IN WORKING CONDITIONS ON OCCUPATIONAL ASTHMA

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ホヤ喘息はカキ養殖従業者に発生する職業性喘息である.1963年より1984年にいたる期間に, 広島県廿日市町のカキのむき身作業場では共同作業場が作られ, カキ洗浄器, 浄化プール, 換気装置などが設置された.また飛散物を減らすために, 作業用の槌の改良が行われ, 従業者は作業中はマスクを着用させ, ホヤ喘息例に対しては減感作療法が実施された.これらの作業環境, 作業方法の改善が, 本症の発生に及ぼす影響を調査した.1)1963年, 1968年, 1976年および1984年におけるホヤ喘息の発生率は, 36.0%, 18.7%, 15.8%および7.4%で, 急速な減少傾向を認めた.2)重症例のしめる割合は, ホヤ喘息例の28.8%, 2.7%, 2.7%および0%と減少し, 軽症例のそれは34.8%, 78.4%, 75.7%および88.2%と増加した.3)ホヤ喘息例の血清特異IgE量は, 抗原暴露のない季節外には季節中に比して減少した.減感作中止後も作業時に喘息症状をおこさなくなった4症例で, 血清特異IgE量は年々減少傾向を示した.4)作業環境の改善, 整備が十分でない某島では, 1984年のホヤ喘息発生率が37.9%の高率であった.職業性喘息では, 環境管理の徹底により, 発生率の低下, 重症度の軽減, 血清特異IgE量の減少などの好結果が達成できる.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 35 (10), 1003-1010, 1986

    一般社団法人 日本アレルギー学会

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