日本における喘息患者実態電話調査

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タイトル別名
  • ASTHMA INSIGHTS & REALITY IN JAPAN (AIRJ)
  • ニホン ニ オケル ゼンソク カンジャ ジッタイ デンワ チョウサ

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抄録

本邦における喘息患者の実態を調査するために,2000年9月から12月にかけて全国に無作為に電話によるインタビューを行った.協力世帯は38,132世帯,このうち喘息患者は1,326世帯で確認され,最終的に成人401名,小児402名の喘息患者を解析対象とした.この1ヵ月間の喘息の症状は成人,小児ともに日中で半数以上,夜間で4割で認められた.この1年間の通院は成人で4割,小児で6割が経験した.日常生活・社会活動上で何らかの制約を感じたのは成人で7割,小児で6割に及んだ.肺機能検査を受けたことが無い患者は成人で半数,小児で8割に上った.喘息の病態を「気道炎症」と回答した患者は成人で6%,小児の保護者で7%,吸入ステロイド薬使用頻度は成人で12%,小児で5%と低くかった.重症の患者では客観的重症度と白己評価の重症度に大きなギャップが認められ,自分を実際よりも軽症と判断している場合が多かった.本調査より,有効な治療法が存在するにもかかわらず,本邦の喘息管理はガイドラインの目標に遥かに及んでいないことが判明した.全ての臨床医への正しい知識の普及,さらに喘息に対する社会認識を高めるためより一層の社会への教育,啓蒙の重要性が示唆された.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 51 (5), 411-420, 2002

    一般社団法人 日本アレルギー学会

被引用文献 (25)*注記

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参考文献 (10)*注記

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