耳鼻咽喉科で経験した食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA:Food-Dependent Exercise-Induced Anaphylaxis)症例の検討

書誌事項

タイトル別名
  • A CLINICAL STUDY OF ADMITTED THE REVIEW OF CASES OF FOOD-DEPENDENT EXERCISE-INDUCED ANAPHYLAXIS
  • ジビ インコウカ デ ケイケン シタ ショクモツ イゾンセイ ウンドウ ユウハツ アナフィラキシ FDEIA Food Dependent Exercise Induced Anaphylaxis ショウレイ ノ ケントウ

この論文をさがす

抄録

【背景】食物摂取によるアレルギー反応の特殊型として,ある特定の食物摂取後に運動負荷が加わった場合に限り発症するという食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)がある.花粉症患者の増加に伴いFDEIAやOAS(Oral allergy syndrome)などアレルギー関連疾患に,耳鼻咽喉科医も遭遇する機会が増えている.【方法】2005年から2007年にかけて姫路聖マリア病院耳鼻咽喉科を受診しFDEIAと診断した症例を計6例(男4例,女2例)経験したので,これらについて臨床的検討を行った.【結果】年齢については8歳から47歳であり,原因食物については小麦食品が2例,エビが1例,グレープフルーツが1例で,他の2例は食品を特定できなかったが,そばやラーメンなど小麦成分を含む麺類を摂取していた.誘発運動については,ランニング,球技の他,入浴後に発症した症例も認めた.これらの患者が呈したアナフィラキシー様症状について,蕁麻疹などの皮膚症状は全例に,喘鳴,呼吸困難など呼吸器症状は3例に認められた.一方何らかのアレルギー疾患の合併が4例に認められた.小麦によるFDEIAが疑われた2例では血清特異的IgE抗体価(CAP)測定でω5-グリアジン抗体の検索により診断確定に至った.【結論】当科で6例のFDEIA症例を経験し,原因食物は小麦,エビ,グレープフルーツ等であり,なかでも小麦関連症例が多く従来の報告に一致するものであった.小麦が原因と確定診断した症例2例は,いずれもRAST検査にて,ω5-グリアジン抗体陽性であった.これらFDEIA症例への対応としては,小麦例に対しては含有食品摂取後の運動制限と抗アレルギー薬内服を,また甲殻類・果物類例では厳密な食事制限を指導し経過を観察している.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 58 (5), 548-553, 2009

    一般社団法人 日本アレルギー学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (15)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ