遺伝性血管性浮腫の全国実態調査

  • 岩本 和真
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学
  • 三原 祥嗣
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学
  • 池澤 善郎
    横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学
  • 秀 道広
    広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学

書誌事項

タイトル別名
  • NATIONAL PREVALENCE SURVEY OF HEREDITARY ANGIOEDEMA IN JAPAN
  • イデンセイ ケッカンセイ フシュ ノ ゼンコク ジッタイ チョウサ

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抄録

【背景】我が国における遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者数および症状,治療の実態は明らかでない.【方法】全国の200床以上を有する医療施設(1389病院,5240診療科)に調査票を郵送し,治療またはフォロー中のHAEの人数,病型,症状,治療内容について調査した.【結果】1128診療科より回答があり(回答率22%),計411例の血管性浮腫患者が報告された.そのうちHAEタイプ1または2の患者は52例であった.HAEタイプ1または2の患者の54%は顔面の腫脹を,42%はのどの詰まりを,37%は消化器症状を経験していた.また,急性期治療においては,C1インヒビター製剤は29%の患者で使用されていた.【結語】本調査により明らかになった我が国の主要な医療機関で把握されているHAE患者数は,欧米の報告にくらべ少なかった.また,多くのHAE患者では重症化を経験していた一方,C1インヒビター製剤の使用は29%にとどまり,今後患者の生命の危険を回避する体制を構築する必要がある.今後遺伝子解析などを進め,我が国におけるHAE患者の遺伝的また臨床的特徴を解析することが望まれる.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 60 (1), 26-32, 2011

    一般社団法人 日本アレルギー学会

参考文献 (17)*注記

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