市販飲料のう蝕誘発性リスク

  • 佐藤 節子
    鹿児島大学医学部・歯学部附属病院発達系歯科センター口腔保健科
  • 水枝谷 幸恵
    鹿児島大学医学部・歯学部附属病院歯科総合診療部
  • 日野 陽一
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
  • 於保 孝彦
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of the Cariogenic Properties of Soft Drinks and Beverages
  • シハン インリョウ ノ ウショク ユウハツセイ リスク

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説明

容易に入手できるペットボトルや缶入り飲料の種類は多岐にわたる.われわれはう蝕予防の観点から62種類の飲料のう蝕誘発性に関する4つの要因,すなわち飲料のpH,中和に要するアルカリ量,う蝕細菌Streptococcus sobrinusによる酸産生および接着性不溶性グルカン合成を評価した.その後,4つの評価で得られたスコアを統合してう蝕誘発性リスクのレーダーチャートを作成した.その結果,炭酸飲料,スポーツドリンク,果・野菜汁および乳飲料のpHは,エナメル質脱灰の臨界値5.5より低かった.それらの飲料の中和には多量のアルカリが必要であり,特に果・野菜汁の中和には最も多くのアルカリを必要とした.また, S. sobrinusとの反応の結果,天然水飲料,無糖茶飲料および無糖コーヒー以外の飲料は, 5.5以下のpHを示した.さらに調査した飲料の半数が,接着性不溶性グルカンを産生した.レーダーチャートの評価により,全飲料は4つの特徴的なパターンに分類された.このレーダーテャートを用いて,茶飲料や天然水飲料等の低う蝕誘発性飲料とその他の高う蝕誘発性飲料を容易に区別することが可能であった.以上の結果から,われわれは飲料の潜在的なう蝕誘発性について認識する必要があること,そしてそのリスクについてのレーダーチャートは飲料の特徴を認識するのに有用であることが示唆された.

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参考文献 (19)*注記

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