近隣2保育所におけるう蝕予防対策事業の結果の違いとその要因

  • 福本 恵美子
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔保健学
  • 古堅 麗子
    長崎大学医学部・歯学部附属病院歯の病気予防室
  • 川崎 浩二
    長崎大学医学部・歯学部附属病院地域医療連携センター
  • 齋藤 俊行
    長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔保健学

書誌事項

タイトル別名
  • Assessment of Caries Prevention Program Conducted over Two Years in Two Nursery Schools of a Rural Town and Factors Associated with Dental Caries Incidence
  • キンリン 2 ホイクジョ ニ オケル ウショク ヨボウ タイサク ジギョウ ノ ケッカ ノ チガイ ト ソノ ヨウイン

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抄録

長崎県M町の2保育所におけるう蝕減少を目的に,2年間う蝕予防事業を行った.フッ化物応用や3カ月ごとの定期歯科健診に加え,「保育所だより」や連絡帳を用いた保護者への間接的な口腔保健教育(間食,歯磨き,フッ化物についてなど)を行うことにより,第一大臼歯のう蝕予防効果が認められ,乳歯についてはA保育所のう蝕増加はわずかであったが,B保育所では長崎県における保育所平均と同程度であった.そこで,A,B保育所間のう蝕発生にかかわる因子について比較分析した.A保育所ではB保育所に比べ,「毎日仕上げ磨きを行う者」の割合が2年後に有意に多かった.う蝕増加の要因については,A保育所では2年後の「歯垢付着有」「mutans streptococci有」,開始時に「仕上げ磨きを毎日はしていなかった者」ほどう蝕が増加しやすかったが,B保育所では口腔衛生状況に関係なくう蝕は増加していた.「仕上げ磨き頻度」と「歯垢付着量」の関係ではA保育所でのみ正の相関が認められた.「仕上げ磨き頻度」の継続性は,A保育所ではプログラムを通して認められたが,B保育所では1年間しか認められなかった.保育所職員へのアンケート調査では,B保育所のみで,「職員から各保護者への直接の定期健診の告知・事後報告の不足」と「間食時間外のアメの摂取」が認められた.以上のことから,保育所の専門的定期健診により第一大臼歯のう蝕予防が可能であり,さらに乳歯に関しては保護者や保育所職員への直接的な口腔保健教育が必要であると考えられた.

収録刊行物

参考文献 (11)*注記

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