小学生における視力と口唇閉鎖力の関係

  • 山中 玲子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • アクター ラヘナ
    シドニー大学ウエストミード口腔保健センター顎機能顎顔面疼痛研究ユニット
  • 古田 美智子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 江國 大輔
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 江崎 光恵
    北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座
  • 山本 龍生
    神奈川歯科大学社会歯科学講座歯科医療社会学分野
  • 岡崎 好秀
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児歯科学分野
  • 丸山 貴之
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 横井 彩
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 森田 学
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between Visual Acuity and Labial Closure Force in Japanese Elementary School Children

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抄録

口唇閉鎖力は,主に口輪筋の機能を反映している.口輪筋は発音や咀嚼などさまざまな口腔機能に関連している.口唇閉鎖力は咀嚼能力や不正咬合に関連がある.一方,裸眼視力1.0未満(<20/20)の小学生は,日本においてこの20年間増え続けている.小学生の視力低下を予防することは,重要な課題である.視力は眼輪筋の強さに関連する可能性がある.眼輪筋は口輪筋とともに顔面筋の一つであり,両者ともに顔面神経の支配を受けており,頬筋などを介して機械的にもつながっており,協調して運動する.口輪筋の強さは,眼輪筋の強さを反映していると推測される.本研究では,口唇閉鎖力が視力に関連しているという仮説を立て,小学生の視力と口唇閉鎖力の関連性を横断的に検討することを目的とした.対象は岡山市内の7歳から12歳までの小学生396名(男子197名,女子199名)とした.口腔内状態と視力は,定期健康診断の結果を用いた.口唇閉鎖力は,LIP DE CUM®/LDC-11O(コスモ計器,東京)を用いて測定した.典型的な不正咬合を有する16名を除外し,高視力群(≥20/20)264名と低視力群(<20/20)116名に分けた.統計分析には,Mann-Whitney U検定,χ^2検定,ロジスティック回帰分析を用いた.高視力群では,口唇閉鎖力(p=0.024)と男子の割合(p=0.045)が有意に高く,年齢(p=0.001)とヘルマンの歯齢(p=0.002)が有意に低かった.性別,年齢,ヘルマンの歯齢で調整しても,低視力群では口唇閉鎖力が有意に低かった(OR1.65,95%CI1.04-2.64,p=0.004).小学生において,視力と口唇閉鎖力には関連があることが示唆された.

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参考文献 (22)*注記

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