85歳における口腔内気体のVSCおよびその関連口腔内診査所見とADLおよびQOLの測定指標との関連について

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タイトル別名
  • ADL and QOL Scales Relating to Volatile Sulfur Compounds in Mouth Air and Oral Health Status in the Elderly
  • 85サイ ニ オケル コウクウ ナイ キタイ ノ VSC オヨビ ソノ カンレン コウクウ ナイシンサショケン ト ADL オヨビ QOL ノ ソクテイ シヒョウ ト ノ カンレン ニ ツイテ

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抄録

岩手県盛岡保健所管内11市町村において, 2002年度に実施された85歳の口腔と全身の状態に関する調査結果より, 口腔内気体の揮発性硫黄化合物(VSC)濃度およびその関連口腔内診査所見〔舌苔の付着状態の視診(舌苔スコア), CPI重度歯数〕と日常生活動作能力(ADL)および生活の質(QOL)の測定指標との関連について検討した.参加者349名のうち168名を対象に舌苔スコアと口腔内気体のVSC濃度測定を行った.VSC濃度測定には口臭測定器OralChroma^<TM>を使用した.有歯顎者に対しては, 歯周組織の状態も診査した.ADLおよびQOLに関するアンケートは, 面接聞き取り調査法により行った.前者は「老研式活動能力指標」を, 後者は「地域高齢者のための簡便なQOL質問表」(以下, QOL質問表)を使用した.その結果, 「老研式活動能力指標」の下位尺度は, VSC濃度およびその関連口腔内診査所見と関連はみられなかった.「QOL質問表」の下位尺度では, 経済的ゆとり満足感と精神的活力がH_2S濃度の嗅覚閾値(26ppb)との間に, それぞれ有意なオッズ比0.30, 0.55を示し, これらのQOLが高いとH_2S濃度は嗅覚閾値未満になりやすいという関連が認められた.また, 精神的活力は舌苔スコアとの間に有意なオッズ比0.69を示し, このQOLが高いと舌苔スコアは0または1になりやすいという関連が認められた.これらのことから, H_2S濃度と「QOL質問表」の一部下位尺度では, H_2Sの原因の1つである舌苔を通して関連している可能性が示唆された.

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参考文献 (18)*注記

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