結核患者に対するピラジナミド投与と薬剤性肝障害

  • 堀田 信之
    公立大学法人横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学 恩賜財団済生会横浜市南部病院呼吸器内科
  • 宮沢 直幹
    公立大学法人横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学 恩賜財団済生会横浜市南部病院呼吸器内科

書誌事項

タイトル別名
  • DRUG-INDUCED LIVER INJURY AND PYRAZINAMIDE USE
  • ケッカク カンジャ ニ タイスル ピラジナミド トウヨ ト ヤクザイセイ カン ショウガイ

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説明

<p>〔背景〕ピラジナミド(PZA)は1950年代には40~70 mg/kg/dayという高用量で投与され,肝障害を高率に発症した。現在は20~25 mg/kg/dayの低用量が推奨されている。低用量のPZAを他の抗結核薬に加えることで薬剤性肝障害の発生率が増加するかは不明である。〔方法〕横浜市立大学附属病院の結核病棟に2008年1月から2012年9月に塗抹陽性肺結核の診断で入院し,HRZEまたはHREレジメで治療をされた20歳以上の患者を後方視的に解析した。治療開始後2カ月間の薬剤性肝障害のリスクをCoxモデルを用いて評価した。〔結果〕195人の患者(男性123人,63%/女性72人,37%),平均年齢は65±19歳,HRE 65人(33%),HRZE 130人(67%)を解析した。治療開始後2カ月以内に薬剤性肝障害を発症した患者は29人(15%)であった。PZAを含むHRZEレジメは薬剤性肝障害との関連が見られなかった(hazard ratio=0.55,P=0.263)。〔結語〕低用量(20~25 mg/kg/day)のPZAはHREレジメに加えても薬剤性肝障害を増加させない可能性がある。</p>

収録刊行物

  • 結核

    結核 90 (3), 401-405, 2015

    一般社団法人 日本結核・非結核性抗酸菌症学会

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