頸動脈小体腫瘍に対する集学的アプローチ―自験例5例の診断と治療―

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タイトル別名
  • A Multidisciplinary Approach to Carotid Body Tumors. Report of Five Cases
  • ケイドウミャク ショウタイ シュヨウ ニ タイスル シュウガクテキ アプローチ ジケンレイ 5レイ ノ シンダン ト チリョウ
  • Report of Five Cases
  • ―自験例5例の診断と治療―

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抄録

慶應義塾大学病院において過去8年間に5例の頸動脈小体腫瘍を経験した. 3例は手術を行ったが2例は手術の危険度が高いと判断し経過観察中である. 初診時に本疾患が疑われたのは1例のみであったことから臨床所見のみで頸動脈小体腫瘍を疑うことは困難であると思われた. 診断確定のためには画像検査が重要であり, MRIに加え超音波カラードプラー断層法とMR血管造影は有用であった. 手術適応を選択する判断材料として血管造影やballoon Matas testが重要であった. 手術例はすべてShamblin分類のgroup IIに相当し内頸動脈を温存したが1例は術後に遅発性の脳梗塞を生じた. 他の2例は顕微鏡下に腫瘍被膜と外膜の間をバイポーラで切離し腫瘍を摘出したところ, 病理組織学的には切除断端に腫瘍細胞を認めなかった. Shamblin分類のgroup I, IIの頸動脈小体腫瘍摘出術に際しては, 頸動脈温存と根治切除を両立させるために顕微鏡下のバイポーラ切離が重要であると思われた. 治療方針の決定に際しては手術の危険性と経過観察の問題点を比較し十分なインフォームドコンセントを行うべきである. また年齢, 既存症, Shamblin分類, balloon Matas testの結果などを参考にして個別に手術適応の有無を検討すべきである. 頸動脈小体腫瘍に対しては放射線科, 脳神経外科, 血管外科との連携が重要で集学的アプローチにより診断と治療にあたるべきである.

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