内耳疾患の治療をめざして―基礎研究の最前線―末梢前庭器保護を目的とした治療戦略―

  • 山下 裕司
    山口大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • 第109回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム 内耳疾患の治療をめざして--基礎研究の最前線--末梢前庭器保護を目的とした治療戦略
  • ダイ109カイ ニホン ジビ インコウカ ガッカイ ソウカイ シンポジウム ナイジ シッカン ノ チリョウ オ メザシテ キソ ケンキュウ ノ サイゼンセン マッショウ ゼンテイキ ホゴ オ モクテキ ト シタ チリョウ センリャク
  • —末梢前庭器保護を目的とした治療戦略—

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説明

末梢前庭器の治療戦略として, 近年注目されている保護機構の内耳への臨床応用について概説した. 末梢前庭器の機能残存・保護の戦略としては, 急性期における保護と, 慢性疾患および加齢による保護とに大別される.<br>急性内耳障害に, 活性酸素障害が関与していることが知られている. われわれの末梢前庭障害モデルにおいても, 活性酸素による障害が主たる原因であることを報告してきた. アミノグリコシド系抗菌薬の薬物障害による末梢前庭障害動物モデルを用いて, エダラボンによる活性酸素障害の軽減が, 急性末梢前庭障害の機能保護に効果のあることを示した.<br>慢性疾患および加齢に対する保護に対しては, 熱ショック応答の誘導によるアポトーシスの抑制の応用について報告してきた. 今回は, 末梢前庭器においても, 熱ショック応答が誘導され, 保護効果が期待できることを示した.<br>以上の治療法を臨床応用することにより, 末梢前庭機能を保護し, 高齢者を中心とする平衡障害に苦しむ方々のQuality of Life (QOL) の改善を目指していきたい.

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参考文献 (75)*注記

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