一側迷路障害例の重心動揺における最大リアプノフ指数の検討

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タイトル別名
  • Studies on the Largest Lyapunov Exponents of the Standing Posture in Patients with Unilateral Vestibular Dysfunction
  • イッソク メイロ ショウガイレイ ノ ジュウシン ドウヨウ ニ オケル サイダイ リアプノフ シスウ ノ ケントウ
  • Studies on the largest Lyapnov exponents of the standing posture in patients with unilateral vestibular dysfunction

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われわれは一側迷路障害例の重心動揺における最大リアプノフ指数の特徴・意義を検討した. 最大リアプノフ指数はカオス時系列解析による, 軌道に不安定性を評価できる一つの指標である. 対象は, 健常成人55名と一側迷路障害例73例 (前庭神経炎例11例, めまいを伴う突発性難聴例6名, メニエール病例23例, 遅発性内リンパ水腫例8例, 良性発作性頭位めまい症11例, 他の迷路疾患14例) である. 開閉眼閉足で, 60秒間の重心動揺検査を行い, 従来の面積軌跡長検査成績と最大リアプノフ指数 (開閉眼, X方向・Y方向) を検討した. 迷路障害例は健常人と比較して, 最大リアプノフ指数が閉眼Y方向で有意に大きかった. 迷路障害例の動揺の大きさ (外周面積・単位軌跡長) が大きい例では最大リアプノフ指数が健常人より大きな値をとる例は少なかった. 迷路障害の経過と最大リアプノフ指数の変化を検討すると, 障害の早期で動揺の大きな時期では最大リアプノフ指数が小さい例があった. また障害の早期で動揺が安定化している例と晩期で動揺が安定した例を比較すると, 早期例では有意に最大リアプノフ指数が大きかった. 以上の結果から身体動揺の大きさと軌道不安定を示す最大リアプノフ指数は異なる指標であることが示された. また迷路障害の経過による変動の結果から, 最大リアプノフ指数を従来の面積軌跡長検査結果と合わせ評価することで, 姿勢制御をより明らかにできる可能性が示唆された.

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