側頭骨の画像診断 ‘Leave me alone’ lesionsと錐体尖部破壊性病変

  • 岡本 浩一郎
    新潟大学脳研究所臨床神経科学部門脳神経外科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • ダイ113カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ ランチョンセミナー ソクトウコツ ノ ガゾウ シンダン'Leave me alone' lesions ト スイタイ センブ ハカイセイ ビョウヘン

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説明

“外転神経麻痺”と“三叉神経第1枝 (V1) 領域の疼痛”の組み合わせはGradenigo症候群として知られ, 側頭骨錐体尖部 (以下, 錐体尖部) の病変を示唆する. Gradenigo症候群の患者のみならず, 耳鼻科的・眼科的疾患や脳病変の検索のために撮像されたCT・MRIで, 錐体尖部病変が認められることがある. これらの病変は, 耳鼻科的診察では直接視診・触診などすることができず, 内視鏡でも観察することが困難で, 生検なども容易ではない. 病変が積極的な耳鼻科的治療の対象か否かの判断に, 画像診断の果たす役割りが大きい.<br>偶然発見される錐体尖部病変のうち, 治療的介入を要しない正常変異や病変は ‘Leave me alone’ lesionsといわれ, 介入を考慮する疾患と区別することが必要である. 偶然発見される代表的な ‘Leave me alone’ lesionsには(1)錐体尖蜂巣の左右差による非対称性錐体尖部骨髄, (2)錐体尖蜂巣内液体 (滲出液) 貯留, (3)脳瘤がある. これらの病態や疾患を, 耳鼻科的介入を考慮すべき錐体尖部 (破壊性) 病変と区別するためには, 錐体尖部の正常画像解剖の理解と, 日常臨床上重要な錐体尖部 (破壊性) 病変の画像所見の知識が必要である.

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