補聴器の耳型採型における副損傷

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  • Complications Resulting from Taking Ear Impressions
  • ホチョウキ ノ ジガタサイガタ ニ オケル フクソンショウ

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抄録

耳型採型の副損傷の動向を概観するために, 1986年 (285医療施設), 1999年 (398医療施設) に続き, 2012年に対象を拡大して3,257医療施設の耳鼻咽喉科に対しアンケート調査を行った.<br> その結果, アンケートの回収率は62.9% (3,257施設中2,050施設), 副損傷の経験があったのは2,050施設中301施設 (14.7%), 副損傷の総件数は460例であった. その発生場所は補聴器販売店が460例中342例 (74.3%) と最も多く, 自医療施設67例 (14.6%), その他が51件 (11.1%) であった. 副損傷の種類としては, 印象剤 (耳型) の離脱困難・残留という耳内異物が298例 (64.8%) と最も多く, これらのうち全身麻酔下での摘出や手術を要したものが32件認められた. 次に採取後の出血・外耳道炎が146件 (31.7%) で, 中には長期間の通院・処置を要した抗凝固薬内服例の報告があり, 留意を要すると考えられた. なお, 鼓膜穿孔例が10例に認められた. また医療機関で耳型採型を実施しているのは, 2,050施設中630施設 (30.7%) であった.<br> 補聴器適合の前には耳鼻咽喉科の受診が必要である. 耳型採型には副損傷の危険が伴い, 特に術後耳や中耳炎後遺症などの耳型採型は耳鼻咽喉科医師が直接に関与すべきであって, わが国の現状を踏まえ, これらに向けた態勢を整えることが望まれる.

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