耳鼻咽喉科領域における再生医療の最前線

  • 安井 徹郎
    九州大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 九州大学大学院医学研究院応用幹細胞医科学部門応用幹細胞医科学講座基盤幹細胞学分野
  • 中島 欽一
    九州大学大学院医学研究院応用幹細胞医科学部門応用幹細胞医科学講座基盤幹細胞学分野

書誌事項

タイトル別名
  • 第115回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム 耳鼻咽喉科領域における再生医療の最前線 : 神経幹細胞を利用した中枢神経再生医療
  • ダイ115カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ シンポジウム ジビ インコウカ リョウイキ ニ オケル サイセイ イリョウ ノ サイゼンセン : シンケイ カンサイボウ オ リヨウ シタ チュウスウ シンケイ サイセイ イリョウ
  • ―神経幹細胞を利用した中枢神経再生医療―

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抄録

中枢神経系は神経細胞 (ニューロン) が無数のシナプスを介して複雑な神経回路を形成し, グリア細胞 (オリゴデンドロサイト, アストロサイト) がこれらと密接に連携することで, 高次機能を司っている. これらのニューロン・オリゴデンドロサイト・アストロサイトは多分化能と自己複製能をもった共通の神経幹細胞から分化する. しかし, いったん中枢神経系が傷害を受け, 軸索の途絶あるいは神経系細胞の細胞死が引き起こされ, 神経回路が崩壊してしまうと, 成体哺乳類では十分にそれを再生させることができない1). そのため現在でもほとんどの中枢神経疾患に有効な治療法が存在せず, 多くの患者が高次機能障害による ADL (activities of daily living: 日常生活動作) の著しい低下に苦しみ続けている. 損傷された中枢神経を再生するためには, それぞれの病態を解明し, それに応じて神経発生過程で起こる現象の少なくとも一部を再現する必要があると考えられている. 近年, 中枢神経障害のうち脊髄損傷に関して, 神経幹細胞移植を利用した治療法の有効性が示されたため, その臨床応用も検討されている.

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参考文献 (31)*注記

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