唾液腺 MALT (mucosa-associated lymphoid tissue) リンパ腫の臨床的検討

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タイトル別名
  • A Clinical Study of a Mucosa-Associated Lymphoid Tissue (MALT) Lymphoma of Salivary Glands
  • ダエキセン MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパシュ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

唾液腺に発生する悪性リンパ腫の占める割合は約1~4%と比較的まれであるが, シェーグレン症候群に合併することが多く, 持続性唾液腺腫脹の鑑別疾患として耳鼻咽喉科医は念頭に置いておく必要がある. 今回われわれは, 唾液腺 MALT リンパ腫を7例 (耳下腺6例, 顎下腺1例) 経験したので, 文献での報告例43例 (耳下腺37例, 顎下腺3例, 小唾液腺3例) とあわせて臨床的検討を行った.<br> 自験例, 報告例ともに主訴は無痛性唾液腺腫脹が大多数を占め, 疼痛, 顔面神経麻痺など悪性を疑わせる所見は認めなかった. 腫瘤は孤立性結節性のものが18例と最も多く, 次いでびまん性腫瘤像を呈するものが6例であった. シェーグレン症候群の合併頻度は50例中24例 (48%) であった. 穿刺吸引細胞診で悪性リンパ腫が疑われたのは11例中4例 (36.7%), また画像所見で悪性が疑われたのは29例中11例 (37.9%) であり, いずれの検査も感度が低く, 術前診断は困難と考えられた. 持続性無痛性唾液腺腫脹を呈する症例ではまず超音波検査で唾液腺腫瘍の有無を評価することが診断への一歩である.<br> 治療法については症例数が少ないこともあり, 各施設が症例ごとに治療を選択しているのが現状である. 初回治療が予後にかかわるとの報告があるため, 適切な選択が重要となる. 病変が局所にとどまる場合には手術あるいは放射線治療を行い, 病変が全身に拡がっている場合には化学療法を選択するのが現状ではよいと考えられる.

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