東京都西多摩地域における扁桃周囲膿瘍症例の検討

  • 高橋 亮介
    青梅市立総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 有泉 陽介
    青梅市立総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科 東京医科歯科大学医学部附属病院頭頸部外科
  • 岸根 有美
    青梅市立総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 冨田 誠
    東京医科歯科大学医学部附属病院臨床試験管理センター
  • 小田 智三
    公立昭和病院感染症科

書誌事項

タイトル別名
  • Study of Cases of Peritonsillar Abscess in the Tokyo Nishitama Area
  • トウキョウト ニシタマ チイキ ニ オケル ヘントウ シュウイ ノウヨウショウレイ ノ ケントウ

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抄録

<p> 背景: 扁桃周囲膿瘍は重症な合併症を生じる可能性から適切な対応を要する.<br> 目的: 当地域の扁桃周囲膿瘍の原因菌と薬剤耐性を評価する. 化膿性扁桃炎治療後に扁桃周囲膿瘍へ進展した頻度と処方抗菌薬の関連を検討する.<br> 対象と方法: 2010年4月から2016年3月の扁桃周囲膿瘍214例の前医抗菌薬を, また2010年4月から2014年3月の119例の原因菌と薬剤耐性を診療録から記述した. 次に2010年4月から2016年3月の化膿性扁桃炎397例の扁桃周囲膿瘍進展頻度について過去起点コホート研究を施行した. さらに化膿性扁桃炎, 扁桃周囲膿瘍既往有無での解析も施行した.<br> 結果: 扁桃周囲膿瘍への前医処方はセファロスポリン系37% (31/84処方), キノロン系抗菌薬25% (21/84処方) であった. 膿汁培養ではレンサ球菌属67% (98/66株), 嫌気性菌13% (13/98株) であった. 全検出菌の45% (42/94株) がキノロン系抗菌薬に耐性を示した. 化膿性扁桃炎へのキノロン系抗菌薬処方群が他抗菌薬処方群と比較し, 治療後に扁桃周囲膿瘍へ進展した頻度が有意に高値 (リスク比11.8, p=0.032) であった. 既往がある症例の検討も同様の結果であった.<br> 結論: 化膿性扁桃炎, 扁桃周囲膿瘍の既往がある化膿性扁桃炎へのキノロン系抗菌薬投与は慎重を要することが示唆された. 今後さらなる検討が望まれる.</p>

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