ウイルス性混合性喉頭麻痺8例の臨床的検討

  • 山内 彰人
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科 東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
  • 大木 雅文
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科 東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
  • 加藤 央
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科
  • 岸田 櫻子
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科
  • 北野 睦三
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科
  • 熊谷 譲
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科
  • 中井 淳仁
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科
  • 福岡 久代
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科
  • 田山 二朗
    国立国際医療センター耳鼻咽喉科・気管食道科 東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • Eight Cases of Viral Associated Laryngeal Paralysis
  • ウイルスセイ コンゴウセイ コウトウ マヒ 8レイ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

今回われわれは,2003年から2007年に当科外来を受診したウイルス性混合性喉頭麻痺症例を対象に臨床的検討を行った。検討症例は8例 (男性7例,女性1例),平均年齢は61±8歳 (25~86歳) で,6例に嚥下困難,5例に嗄声を認めた。声帯麻痺側に左右差はなく,7例が完全麻痺,1例が不全麻痺であった。全例が水痘帯状疱疹ウイルス (VZV) の再活性化によるものと考えられた。咽頭麻痺が全例,複数の脳神経障害が3例で見られた。6例が抗ウイルス剤投与,6例がステロイド投与,5例がリハビリテーション,2例が手術を受けた。声帯麻痺は発症から平均5.3±1.7カ月 (1.0~13.0カ月) の間に2例が治癒,5例が改善し,1例が不変であった。脳神経障害は発症から平均3.6±1.0カ月 (0.5~8.0カ月) の間に6例が治癒し,2例が改善した。嚥下造影 (VF) を行った7例中1例は正常,1例は口腔期障害,5例は口腔咽頭期障害を認めた。7例中4例で誤嚥が見られたが,経過を追った3例全例で誤嚥は消失した。ウイルス性混合性喉頭麻痺の脳神経障害は高率に改善するが,声帯麻痺は遷延し不全麻痺が残存する傾向にあり,ウイルス性が疑われた症例ではVZV感染を想定し,早期に抗ウイルス薬を投与すべきと考えられる。

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (12)*注記

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