塩基性線維芽細胞増殖因子(b‐FGF)を用いた自家筋膜移植の組織学的検討―ラットの下肢筋を用いて―

書誌事項

タイトル別名
  • Histological Study of Autologous Fascia Implantation with Basic Fibroblast Growth Factor in Rats Leg Muscle
  • 塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FGF)を用いた自家筋膜移植の組織学的検討--ラットの下肢筋を用いて
  • エンキセイ センイ ガサイボウ ゾウショク インシ b FGF オ モチイタ ジカ キンマク イショク ノ ソシキガクテキ ケントウ ラット ノ カシキン オ モチイテ

この論文をさがす

抄録

一側性反回神経麻痺の治療としての声帯内自家側頭筋膜移植術は,自家組織を使用するため再吸収されることは避けられない。そこで,増殖因子の一つである塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FGF)を徐放させて,移植筋膜の残存率の上昇を試みた。b-FGFは,生体内での半減期が短いため,ゼラチンハイドロゲル(ゼラチンシート)を用いて徐放した。対象はSDラットを用いた。ラットの下肢筋内に自家筋膜とb-FGFを浸透させたゼラチンシートを移植した。移植筋膜の残存率は,移植後4週間でb-FGF投与群が非投与群と比べて有意に高かった(p =0.03)。移植部に形成された肉芽組織は,移植後2週間でb-FGF投与群が非投与群と比較して有意に大きかった(p =0.03)。また,b-FGF投与群では,肉芽組織の大きさと移植筋膜の残存に正の相関が認められた。このことから,自家筋膜にb-FGFを徐放させた移植は,移植部に有意に大きい肉芽組織を形成し,このことが移植筋膜の残存に有益である可能性が示唆された。

収録刊行物

参考文献 (25)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ