喫煙と気管食道領域疾患  喫煙と喉頭癌・咽頭癌

  • 宮原 裕
    大阪府立総合医療センター耳鼻咽喉科頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Cigarette Smoking as a Carcinogenic Risk Factor in Cancer of the Larynx and Pharynx
  • 喫煙と喉頭癌・咽頭癌
  • キツエン ト コウトウガン イントウガン

この論文をさがす

説明

喫煙は肺癌に加えて, 喉頭癌, 中咽頭癌, 下咽頭癌および口腔癌の発癌危険因子として重要である。タバコに含まれる発癌物質は極少量であるが喫煙が長期間に及ぶとかなりの量となる。すなわち, 1日の喫煙本数とその喫煙年数 (ブリンクマン指数) によって相当な曝露量となる。喉頭癌患者, 中・下咽頭癌患者のブリンクマン指数は相当高値である。喉頭癌患者の声門上部の扁平上皮化生度は年齢相応よりさらに進行している。とくに, 声門上癌の患者では顕著であり, それは喉頭室の扁平上皮化生においても同様であり, 扁平上皮化生からの発癌過程が想定される。発癌のリスクは禁煙することによって減少するが, 非喫煙者のレベルになるまでには10年以上の禁煙が必要とされている。多くの疫学的研究により喉頭癌や下咽頭癌の発癌にはタバコ喫煙のみでなくアルコール飲酒が相加相乗的に関与することが示されている。高度喫煙者や一次治療後喫煙を継続していると喉頭内同時多発癌がみられたり, 異時あるいは同時の二次癌の発生のリスクが高くなる。

収録刊行物

参考文献 (63)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ