他科から学ぶ実地医療

  • 海老澤 元宏
    国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部

書誌事項

タイトル別名
  • 他領域からのトピックス 他科から学ぶ実地医療 : アナフィラキシーへの対応(日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン)
  • タ リョウイキ カラ ノ トピックス タ カ カラ マナブ ジッチ イリョウ : アナフィラキシー エ ノ タイオウ(ニホン アレルギー ガッカイ アナフィラキシー ガイドライン)
  • アナフィラキシーへの対応 (日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン)

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抄録

<p> 日本アレルギー学会のアナフィラキシーガイドラインに沿ってアナフィラキシーへの対応を解説する. アナフィラキシーとは「アレルゲン等の侵入により, 複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され, 生命に危機を与え得る過敏反応」とし, アナフィラキシーショックは「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」と定義される. 臨床的な診断基準としては世界標準の3つのパターン, 機序としては4つに分類 (IgE が関与する免疫学的機序, IgE が関与しない免疫学的機序, 非免疫学的機序, 特発性) される. 誘因としては医薬品 (抗菌薬, 解熱鎮痛薬, 抗腫瘍薬, 局所麻酔薬, 筋弛緩薬, 造影剤, 生物学的製剤, アレルゲン免疫療法, 輸血), さらに手術関連, ラテックス, 昆虫刺傷 (ハチ, アリ等), 食物 (小児: 鶏卵, 牛乳, 小麦, 成人: 小麦, 甲殻類, 果物) 等が挙げられる. 小児では即時型, 成人では食物依存性運動誘発アナフィラキシーが重要である. アナフィラキシーの誘発頻度としては食物が最も多いが, 死亡例では医薬品・昆虫刺傷 (ハチ) が多い. 初期対応の手順は, 1. バイタルサインの確認, 2. 助けを呼ぶ, 3. アドレナリンの筋肉注射, 4. 患者を仰臥位にする, 5. 酸素投与, 6. 静脈ルートの確保, 7. 心肺蘇生, 8. バイタル測定の項目より構成される. アナフィラキシーの初期対応において薬物治療の第一選択はアドレナリンの筋注である. 第二選択薬として H1 抗ヒスタミン薬, β2 アドレナリン受容体刺激薬, グルココルチコイドが挙げられているが, いずれもエビデンスに基づいた推奨ではなくH1 抗ヒスタミン薬は皮膚, 鼻, 眼症状, β2 アドレナリン受容体刺激薬は下気道症状に対する使用経験に基づいた, また, グルココルチコイドは二相性アナフィラキシーを予防する可能性を想定した推奨である.</p>

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