高齢者に対する放射線・化学療法—食道—

  • 加藤 健
    国立がん研究センター中央病院 消化管腫瘍科 消化管内科

書誌事項

タイトル別名
  • Chemoradiotherapy for Elderly Patients—Esophageal Cancer
  • 高齢者に対する放射線・化学療法 : 食道
  • コウレイシャ ニ タイスル ホウシャセン ・ カガク リョウホウ : ショクドウ
  • Chemoradiotherapy for Elderly Patients^|^mdash;Esophageal Cancer

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抄録

食道癌は比較的高齢者に多く,約半数が70歳以上である。食道癌に対する化学放射線療法では,5-FU/シスプラチン併用化学放射線療法を行うことが標準的であるが,臨床病期II/III食道癌に対して5-FU/シスプラチンを用いた症例での2つのレトロスペクティブな検討では,高齢者は若年者と比べて治療コンプライアンスが悪く,毒性は強く出る傾向にあった。完全奏効割合50~60%,2年生存割合40~50%と治療成績は若干劣る傾向にある。これは高齢者が合併症割合が高く,潜在的な臓器機能低下があることを反映している。よって高齢者に対しては,毒性とコンプライアンスを改善した治療の開発が望まれている。ドセタキセル+放射線60Gy併用療法の第II相試験では,1年無増悪生存割合と1年生存割合はそれぞれ66.7%,85.7%であり,比較的良好であったが,Grade 3食道炎を31%に認めた。観察期間が短いため,有効性については今後の検討が必要である。また,パクリタキセルやオキサリプラチンなどを採用したレジメンも,高齢者食道癌の治療として可能性を秘めている。今後は前向き試験を行い,エビデンスを積み重ねていくことが肝要である。

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参考文献 (15)*注記

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