胃酸逆流と喉頭肉芽腫—動物モデルを用いた検討—

書誌事項

タイトル別名
  • Experimental Laryngeal Granuloma in a GERD Rat Model
  • 胃酸逆流と喉頭肉芽腫 : 動物モデルを用いた検討
  • イサン ギャクリュウ ト コウトウ ニクガ シュ : ドウブツ モデル オ モチイタ ケントウ

この論文をさがす

抄録

喉頭肉芽腫の発生には胃酸逆流および音声酷使, 慢性咳嗽, 気管内挿管による喉頭粘膜損傷が関与することが指摘されているが, この二つが関与する詳細な機序は不明である。われわれはこれまで逆流性食道炎 (gastro-esophageal reflux disease : GERD) モデルラットを作成し, 喉頭粘膜の形態学的変化を観察してきたが, 喉頭肉芽腫の形成は認めなかった。今回, GERDモデルラット作成時に喉頭粘膜に機械的損傷を加えることにより, ラット喉頭に肉芽腫を形成することができた。<br>GERDモデルラットを作成した直後に, プラスチック製の円柱状の棒を声門から気管内に挿入し, 3秒間に3回の上下運動を行った後に抜去した。術後2週のラット喉頭を観察した結果, 機械的刺激のみを与え胃酸逆流のないコントロール群では, 機械的刺激により声帯遊離縁粘膜が剥離しており, 水疱形成を認めた。それに対し, GERDモデルに機械的刺激を与えた群では, 声帯粘膜に粘膜肥厚と毛細血管の増生・拡張および線維組織の増生を伴った炎症細胞浸潤を呈しており, 肉芽腫形成を認めた。形成された肉芽腫は組織学的にヒト喉頭肉芽腫と同様な病理像を呈した。今回の結果から, 喉頭肉芽腫の形成において機械的刺激と胃酸逆流が大きく関与することが示された。

収録刊行物

参考文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ