咽喉頭逆流症 (LPRD) —診療のピットフォール—

  • 佐藤 公則
    佐藤クリニック 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 久留米大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Pitfalls in the Treatment of Laryngopharyngeal Reflux Disease
  • 咽喉頭逆流症(LPRD) : 診療のピットフォール
  • インコウトウ ギャクリュウショウ(LPRD) : シンリョウ ノ ピットフォール

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説明

咽喉頭逆流症 (LPRD) の所見や臨床症状に明らかな意見の一致は得られていない。さらにLPRDを評価する理想的な診断法はない。そして診断基準や治療法もあいまいである。LPRDの診断と治療のピットフォールを述べる。<br>1)LPRDの症状は多様であり, LPRDに特異的ではない。2)経鼻咽喉頭内視鏡検査ではLPRD疑い例が明らかになるが, 咽喉頭への酸逆流と器質的病変を伴ったあるいは伴わないLPRDとの関連性を評価することは難しい。3)経鼻食道内視鏡検査ではしばしば内視鏡的に所見がない胃食道逆流症 (GERD), LPRDが存在する。胃食道接合部の病理学的変化はLPRDに特異的ではない。4)24時間pHモニタリングは, LPRDに鋭敏で特異的な検査である。それはLPRDの診断においてゴールドスタンダードとされている。しかしpHセンサーの数, その部位, 検査結果の解釈に意見の一致は得られていない。咽喉頭逆流の基準にはpH 4よりも5を用いた方が有用である。5)PPIテストに関しては, 偽陰性のLPRD症例が存在する。例えば制酸治療に抵抗するLPRDあるいはnocturnal gastric acid breakthrough on PPIのLPRDなどである。<br>LPRDの診断と治療のピットフォールを踏まえたLPRD診療が大切である。

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参考文献 (14)*注記

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