重症鼻過敏症に対する後鼻神経切断術 (経鼻腔翼突神経切断術)

  • 竹野 幸夫
    広島大学大学院医歯薬保健学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • 第118回日本耳鼻咽喉科学会総会モーニングセミナー 重症鼻過敏症に対する後鼻神経切断術(経鼻腔翼突神経切断術)
  • ダイ118カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ モーニングセミナー ジュウショウ ビ カビンショウ ニ タイスル アト ビ シンケイ セツダンジュツ(ケイ ビコウヨクトツシンケイ セツダンジュツ)

この論文をさがす

抄録

<p> 重症アレルギー性鼻炎症例では, しばしば下鼻甲介粘膜の不可逆的腫脹と同時に鼻過敏性の亢進が顕著である. この神経原性反射の閾値の低下は, くしゃみ・むずむず感の原因となっている. 同時に遠心性副交感神経の興奮優位による分泌亢進は鼻汁過分泌の主因の一つとなっている. わが国で考案された後鼻神経切断術 (経鼻腔翼突神経切断術) は, これらの症状を観血的に制御する機能的手術である. 鼻腔後部において蝶口蓋孔 (sphenopalatine foramen) を確認し, 蝶口蓋動脈 (sphenopalatine artery) に伴走している求心・遠心両神経線維束 (知覚神経である三叉神経第Ⅱ枝の枝, 翼口蓋神経節由来の遠心性副交感神経の枝) を切断する手法である.  </p><p> 本稿では当科で施行している後鼻神経切断術の実際についてその手技と効果を紹介する. 蝶口蓋孔において血管神経線維束を同定後に線維鞘を切開し, 血管を温存しながら神経線維束を切断している. ポイントとしては, 1) 良好な術野の確保, 2) 助手との協力体制 (4 hands procedure), 3) 神経線維束の走行個体差の予測, 4) 鼻腔側壁粘膜フラップの温存, などが挙げられる.  </p><p> 後鼻神経切断術の効果に関しては自覚鼻症状の改善などの優れた臨床効果と同時に, 局所のアレルギー・好酸球性炎症に対する抑制効果に関する報告もされている.</p><p> 一方で, 鼻腔形態整復術と組み合わせた後鼻神経切断術の相乗効果を評価するうえで, 治療の主目的である鼻過敏症状 (くしゃみと鼻漏症状) に関する客観的検査法の確立が今後の検討課題と思われる.</p>

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (14)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ