画像診断 up to date

書誌事項

タイトル別名
  • 第118回日本耳鼻咽喉科学会総会学術セミナー 画像診断up to date : PET : 読影の基礎と臨床応用
  • ダイ118カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ ガクジュツ セミナー ガゾウ シンダン up to date : PET : ドクエイ ノ キソ ト リンショウ オウヨウ
  • ―PET: 読影の基礎と臨床応用―

この論文をさがす

抄録

<p> CT, MRI は頭頸部の癌診療において広く応用され, 原発および転移巣の評価に貢献している. 近年では, フルオロデオキシグルコース (FDG) を用いた PET 検査により糖代謝活性を利用して新たな病態解析が可能となっている. FDG-PET は原発巣よりも N 因子, M 因子の診断に有用とされ, 高い陰性的中率が報告されている.</p><p></p><p> PET は従来の検査に比較し, 空間および組織コントラストの分解能は劣るが, 分子イメージングの側面から新知見を提供し, 広い臨床応用が期待されている.</p><p></p><p> 本稿の目標は, 頭頸部癌における PET 画像の意義および画像解釈の注意点について概説し, 知識を整理・応用することである.</p><p></p><p> 頭頸部癌が, 保険診療 PET に占める割合は10.9%と, 罹患率に比して高めであるが, その保険適用には注意が必要である. 悪性腫瘍と診断確定され, ほかの検査, 画像診断により病期診断, 転移・再発を診断確定できない患者に対してのみ FDG-PET は保険適用され, スクリーニング検査や治療効果判定に使用できない.</p><p></p><p> FDG の集積機序を理解すると, 事前の糖摂取および運動制限の重要性に気づくことができる. さらに, 有意な FDG 集積を正しく評価するには, リンパ節, 唾液腺などの生理的集積および, 以下に示す偽陰性への理解が必要である.</p><p> 1. 空間・濃度分解能の限界</p><p> 2. 脱リン酸化酵素の活性上昇</p><p> 3. 背景組織の高集積</p><p> 4. 高血糖, 高インスリン</p><p> 5. 治療に対する反応</p><p> 6. 動き</p><p></p><p> PET 用の放射性核種は生物を構成する主要元素が多く, 核酸やアミノ酸の代謝を可視化できる. 分子生物学の研究課題はこれまでの構造解明から生体分子の分布・機能,体内動態へと発展していくと予想され, PET も難病の病態解明や, 治療抵抗性病巣に対するオーダーメイド治療などへの貢献が期待されている. PET の意義, 限界を理解し, 日常診療に役立てていただければ幸いである.</p>

収録刊行物

参考文献 (6)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ