妊娠に伴って音声の変化をきたした2症例

  • 田村 悦代
    東海大学医学部付属東京病院耳鼻咽喉科・ボイスクリニック
  • 新美 成二
    国際医療福祉大学言語聴覚センター
  • 和田 吉弘
    東海大学医学部付属東京病院耳鼻咽喉科・ボイスクリニック
  • 飯田 政弘
    東海大学医学部付属病院耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Voice Changes in Pregnancy
  • ニンシン ニ トモナッテ オンセイ ノ ヘンカ オ キタシタ 2 ショウレイ

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説明

<p>妊娠による音声の変化は妊娠性喉頭障害として,分娩後に軽快するのが特徴であるといわれている。今回われわれは,妊娠に伴って話声位が著しく低下し,分娩後も改善しなかった2症例を経験した。症例1 : 33歳。妊娠3カ月ごろより声が低くなったとして受診した。初診時,話声位は127 Hz,声域は118~511 Hzで,明らかな器質的病変は認められなかった。男性ホルモンの検査で,テストステロンは正常範囲であったが,アンドロステロンは正常の約2倍の値を示した。1年後には月経が再開し,話声位は152 Hz,声域は141~555 Hzに変化した。また,アンドロステロンの値も減少し,正常範囲に近い値となった。その後,再度,妊娠・出産をしたが,話声位に変化はなかった。症例2 : 35歳。妊娠6カ月ごろより声が低くなったとして受診した。初診時,話声位は133 Hz,声域は82~606 Hzであった。いずれの症例も,積極的な治療の希望はなく,経過観察中である。声域は,2症例とも30半音程度あり,正常範囲であったが,話声位が低下し声域下限よりに偏移し,発声時に声区変換付近の不安定さがあるなど,ホルモン音声障害による男性化音声と似た症状と考えられた。</p>

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