気道狭窄を認めた偏在性甲状舌管嚢胞の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Endolaryngeal Extension of Laterally Located Thyroglossal Duct Cyst
  • 症例 気道狭窄を認めた偏在性甲状舌管嚢胞の1例
  • ショウレイ キドウ キョウサク オ ミトメタ ヘンザイセイ コウジョウ ゼツカンノウホウ ノ 1レイ

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説明

<p>甲状舌管嚢胞は前頸部正中に隆起する腫瘤としてみられることが多く,偏在性に存在することは稀である。また発生部位や腫瘤の大きさにより咽頭や喉頭進展を認め気道症状を生じることがある。今回われわれは,気道狭窄を認め気管切開術を要した偏在性甲状舌管嚢胞症例を経験したので報告する。症例は37歳男性。10日前から徐々に増大する右頸部腫脹を主訴に受診。呼吸困難は認めなかった。右顎下部に55×45 mm大,弾性軟,可動性良好な腫瘤を触知した。喉頭内視鏡では喉頭蓋谷右側に喉頭蓋を左側へ圧排する粘膜下の膨隆所見を認め声帯は観察困難であった。CT検査では右舌骨大角に接する境界明瞭,内部均一の占拠性病変を認め,造影MRI検査では胸鎖乳突筋前縁で顎下腺を腹側,内・外頸動脈を背側へ圧排する嚢胞性腫瘤を認め,甲状舌骨間膜から咽頭腔へと進展していた。右側頸嚢胞との診断で,局所麻酔下に気管切開術を施行後,全身麻酔下に嚢胞摘出術を施行した。病理診断は甲状舌管嚢胞であった。術後喉頭浮腫は軽減し,再発はみられず経過良好である。側頸部に発生する嚢胞性疾患においては甲状舌管嚢胞も鑑別のひとつとして念頭に置き,発生部位より気道狭窄を呈する可能性があり注意を要する。</p>

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