CGA短縮版策定のための過活動膀胱スクリーニングテスト

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タイトル別名
  • Screening test for overactive bladder in a newly developed comprehensive geriatric assessment initiative
  • CGA タンシュクバン サクテイ ノ タメ ノ カカツドウ ボウコウ スクリーニングテスト

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抄録

目的:下部尿路症状は高齢者によくみられ,特に過活動膀胱(overactive bladder:OAB)はQOLに大きな影響を及ぼす.従って,その評価は高齢者総合的機能評価(CGA)に不可欠であるが,CGAには多くの時間がかかる.そこで,CGA短縮版策定を目途としてOAB評価も簡便化する必要があり,本研究はこの目的に適う課題を明らかにするために行われた.方法:種々の疾患で外来通院中の高齢者123名(平均年齢83.2歳,男63名,女60名)を対象として排尿に関する2つの課題,すなわち,1.「この一週間,夜寝てから朝起きるまでに何回くらい尿をするために起きましたか?(排尿回数1回以上を夜間頻尿)」,2.「その時,間に合わないことがありましたか?」(尿失禁)に答えてもらい,その後にあらためて過活動膀胱症状質問票(OABSS)を用いて採点した.推奨されたOABの診断基準よりOABの有無を判定し,これに基づいて2つの課題の診断精度を評価した.同時に夜間頻尿,尿失禁の有無で対象を2群,2亜群に分類し,臨床所見,生活環境,生活機能,睡眠状況などの周辺情報について比較検討した.結果:夜間頻尿は82名に,尿失禁は22名にみられた.OAB診断基準に合致していたのは22名で,OABSSをゴールドスタンダードとすると,課題1のみの診断精度は感度100%,特異度40.6%,陽性反応適中率26.8%,課題1+2では感度68.2%,特異度92.1%,陽性反応適中率65.2%であった.夜間頻尿陽性群では夜間頻尿陰性群(41名)と比較して,男性,脳血管障害例,ADL低下例,睡眠中断例,起床時刻の遅延例,利尿薬治療例が有意に多かった.さらに夜間頻尿陽性群で尿失禁を伴う亜群ではParkinson病例,うつ例,座位生活を送る日中の活動性低下例,利尿薬非治療例が多かった.結論:「夜間頻尿」の課題は高齢者OABに対して高い感度を有し,高齢者の下部尿路症状の一部を浮き彫りにしたが,OABの陽性反応適中率は低かった.これは「尿失禁」の課題を追加することで改善された.以上より,2つの課題がOAB検出の契機となり,OABのスクリーニングに有用であると考えられた.<br>

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参考文献 (16)*注記

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