頬部扁平上皮癌をMohs chemosurgeryで治療したアルツハイマー型認知症の1症例

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タイトル別名
  • A case of squamous carcinoma in the buccal region treated with Mohs chemosurgery in a patient with senile dementia of Alzheimer type
  • 症例報告 頬部扁平上皮癌をMohs chemosurgeryで治療したアルツハイマー型認知症の1症例
  • ショウレイ ホウコク キョウブ ヘンペイ ジョウヒガン オ Mohs chemosurgery デ チリョウ シタ アルツハイマーガタ ニンチショウ ノ 1 ショウレイ

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抄録

症例は89歳,女性.2003年頃よりアルツハイマー型認知症と診断されていた.2006年右頬部の腫瘤を主訴に皮膚科を受診し扁平上皮癌の可能性を指摘されるも放置していた.2008年3月認知症が進行し在宅療養困難となり当院に入院となった.入院時,右頬部に1円硬貨大(20×20×2 mm)の隆起した表面カリフラワー状の皮膚腫瘤を認め,外科的切除を勧めたが家族は自然経過に任せることを強く希望された.腫瘤は同年12月頃より急速に増大し鶏卵大(40×55×25 mm)となり出血,悪臭等よりQOLを著しく阻害するようになった.2009年1月に生検を実施し,高分化扁平上皮癌と確定診断した.高度認知症(MMSE 10点)で外科的切除は困難であり,Mohs chemosurgeryによる治療の適応と考え,院内倫理委員会の承認後,家族への十分な説明及び書面による同意を得て同年1月末よりMohs chemosurgeryを実施した.同法は塩化亜鉛を主体とした軟膏を病巣に塗布し腫瘍組織を変性・壊死させる方法で,計7回(約2カ月間)の軟膏塗布にて腫瘤は消失し,患者のQOLは著明に改善した.軟膏塗布後の軽度の疼痛,変性・壊死組織除去時の少量の出血以外に合併症なく安全に実施できた.Mohs chemosurgeryは本症例のように認知機能が著しく低下し根治的治療の不能な患者の急速に増大する進行性皮膚癌に対して非常に有効な治療法の一つであると考えられた.<br>

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参考文献 (15)*注記

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